コンチネンタルGT「スーパースポーツ」は名に恥じないのか? 710台限定車をテスト

公開 : 2017.02.20 20:37  更新 : 2017.05.29 19:02

たとえば、巨大なカーボン・セラミック・ディスクを備えながら、セオリー通りの操作が要求されるブレーキングだ。

コーナー手前で十分すぎるほどに速度を落とそう。ターンインしたらスロットルを調整し、トルク・ベクタリング・システムがリアの内輪にブレーキを当てるのを感じつつ旋回すれば、エイペックスを捉えられる。ただし、ここで進入速度を上げてやろうなどと欲目を出すと、ノーズはコーナーの外側目指して膨らんでしまう。

スローイン・ファストアウト。古式ゆかしいベントレーの流儀に則ろう。さすれば与えられん。すべてが有意義な方向に動き出す。

エイペックスからコーナー出口へ向かう際には、トルク・ベクタリング・システムがいい仕事をして、アンダーステアを効果的に打ち消す。そこからスロットルを開ければ、今度は重量級ボディの走行ラインを精確かつ愉快なほどみごとにアジャストしてくれる。

高速コーナーもまた素晴らしい。エイペックスを狙ってステアリングを切り、スロットル・ペダルを緩めればクルマは美しく弧を描く。あとは、できるだけ早くパワーオンするだけだ。

とはいえその走りは、車名とは裏腹にスポーツカーのそれではなく、ましてやスーパー・スポーツ・マシンとも違う。ロールス・ロイスによる買収以降の86年間、すべてのベントレーがそうだったように、その性能がスーパーカー並みだとしても、これは高速ツアラーなのだ。そして、ベントレーとしてその方向性にあることは間違いではない。ハングリーなクルマではないが、そこにこそベントレーの価値がある。

たとえば、21インチもの巨大なタイヤを履くにもかかわらず、乗り心地は実に優雅だ。高速道路を流す程度の速度域なら驚くほどの静粛性で、シートは一日中運転していても身体のどこにも痛みを感じることなどない。ベントレー特有の堅実さにエンジニアリングの完璧さが加わり、£212,500(2,976万円)という価格にもかかわらず、裕福な顧客層へ強力にアピールするに違いない。

馬力にちなんだ限定710台を売り切るのに、そう時間はかからないだろう。先代スーパースポーツは、これより£30,000(420万円)ほど安かったとはいえ、およそ1800台を販売したのだから。

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