マイチェン後のVWゴルフRに試乗 「わずかな違い」を体感できるか 310psはまたも5つ星

公開 : 2017.03.31 11:02  更新 : 2017.05.29 18:56

マニュアルの設定に「敬礼!」

フォルクスワーゲンが最近の傾向を敏感に読み取り、マニュアル・トランスミッションをオプションで設定してきたことも褒めたい。

6速のそれは、クルマとの対話を楽しいものにするし、操作性はドライバーが運転に集中する上で好ましい仕上がりだ。

しかしパフォーマンスを引きだすうえで、オートマティック・トランスミッションに比べて、マニュアル・トランスミッションは不利であることも承知だ。

実際、0-100km/h加速において、3つのペダルを駆使すると、5.1秒を要するが(前輪駆動のゴルフGTIクラブ・スポーツの5.8秒よりは速い)、オートマティックを利用すれば4.6秒で駆け抜ける。

ただ、オートマッチックは約£1,000(14万円)の追加費用が必要。わたしならばその費用をセーブし、3つのペダルがもたらすより濃密なクルマとの掛かり合いを楽しもうと思う。

シャシーとハンドリングにも感服

シャシーが音を上げることはない。4WDの恩恵で、安定感と操作性、そして絶え間のないグリップを享受できる。

ステアリングはクイックだが、応答性はよく、どこまでもいけそうな気にさせる感覚をもたらす。4WDの出来もすばらしく、前輪がアンダーステアの対処に苦慮しているとみなすや否や、4WDシステムは後輪に駆動力を配分し始める。

乗り心地は硬いが、不躾な突きあげとは無縁。さらに、アダプティブ・シャシー・コントロールを搭載すれば、多彩なシャシー設定が可能になるのもよい。

このゴルフRに欠けているものがひとつあるとすれば、それはちょっとした熱い心だ。ちょっと変わったクルマではあるが、結局、これはゴルフなのだ。

あなたはそのスタイリングに絶望することもないし、道行く人々がハッとして振り返ることもない。しかし、日々あなたが非の打ち所のない逸材を存分に使い倒していて、その本質的な価値を理解しているのであれば、多分あなたはそんな事を気に掛けることもないだろう。

「目立たなくったって、いいじゃない。おれが、このクルマのよさをわかっているのだから、ひとにわざわざ認めてもらう必要はないのさ」といったところだ。

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