回顧録(1) いま知る ランチア・デルタ・インテグラーレと、その歴史

公開 : 2017.07.25 17:40  更新 : 2017.08.11 17:04

英国RACラリーの最難関「キールダーの森」は、WRCにまつわる伝説のひとつ。そこで活躍をしたのは、ランチアの名車、デルタでした。1987年に投入されるやいなや、連戦連勝を重ねたんですね。今、エヴォ2を駆って北を目指し、伝説の森とランチア・デルタの秘密に迫ります。(この記事は、姉妹メディア「クラシック&スポーツカー」とのクロスポストです)

「魔の森」

フィンランド出身のランチアのエース、マルク・アレンと、同じくフィンランド出身のコ・ドライバー、イルッカ・キビマキが乗り組む8バルブ・インテグラーレ8v。その車内を早くも重苦しい空気が覆った。

マルク・アレンは、WRCの草創期から1990年代初頭までを代表するラリードライバーであり、ドライバーズ・チャンピオンこそ獲得できなかったものの、出走123回、優勝19回、表彰台56回という戦歴は、ラリー界の「無冠の帝王」として、レース界のスターリング・モスと並び称されるにふさわしい。

自動車競技としてのラリーの歴史はかなり古く、第1回ラリー・モンテカルロがモナコで開催された1911年にさかのぼる。決まった道路区間を極力指定された速度・時間で走り、それから前後した分だけ減点され、総合得点で順位を争う自動車競技としてのラリーの原型も、モンテカルロで形成された。それから77年の歳月が流れた。

2人がインテグラーレ8vでウェールズと湖水地方を抜け、北を目指すにつれ、不安が頭をもたげてくる。勝敗を大きく左右する「魔の森」

その評判は誰もが知っている。だが、ランチアのエースドライバー、マルク・アレンほど「魔の森」の怖さを身に染みてわかっている者はいなかったかもしれない。

このフィンランド人チームが、ノーサンバーランドに入った時に首位に立っていながら、「魔の森」に足元をすくわれたのは1度や2度の話ではないからだ。

1988年のその日、インテグラーレ8vで後続集団を5分リードしていたアレンは、英国北西部にあるカーライルでルートマップを頼りに次のレグについて研究していた。そんなアレンが頭を悩ますのは当然だった。

「なんてこったい」。アレンがこうつぶやいた。

「こんな時にキールダーか……」。

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