ロールス・ロイス・レイス「ブラック・バッジ」 ルーマニアの旅(前編)

公開 : 2017.08.19 19:40  更新 : 2017.08.19 19:40

6.6ℓV型12気筒 驚くほどの静粛性

東へ向けてゆっくりと走り出した。クルマを知るために慎重にこの旅を始めた。

ポルシェ4台分の値段で、地平線までの距離の半分をその巨大なノーズが占めるかのよう。ロールスに乗るのも、レイスに乗るのも、もちろん今回が初めてではないが、このクルマと旅が始まることに飽きることは決してない。

まずため息がでるのはエンジンの静粛性であろう。633psを発生する6.6ℓV型12気筒エンジンは、驚くほど静かなのである。

タコメーターが装備されていないため、出力を窺い知るには、エンジンのポテンシャルをどれだけ消費しているかを示すメーターから想像することになる。

ほとんどの場合、このメーターはだいたい10%を指している。ひょっとしたらロールス・ロイスは、全く新しい動力原を採用し、エンジンを捨ててしまったのではと思う瞬間があったくらいである。

その他にもこのクルマには沢山の特筆すべき点がある。

例えば、ノーズの長さである。兄弟車となるゴーストとの比較で、全長(とホイールベース)で20cmも短くなっているのだが、それでもベントレーベンテイガよりも全長で15cm長いのである。

奇妙なことに、車幅はそこまで気にならない。一旦慣れてしまえば(30分程度)、このクルマは明確に俊敏に感じられる。われわれは、パッサウに向かう時や、オーストリアの国境で、綺麗に舗装された平面な車道でぐんぐんとスピードを上げていった時にそれを悟った。

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