お金をかけないリッチライフ(1) アストン マーティンDB7

公開 : 2017.09.30 15:40

紳士の直列6気筒

エンジンをスタートさせても、ほかの2台のイタリア車のように酔わせるサウンドを響かせはしないが、トム・ウォーキンショー・レーシングの3.2ℓユニットはDBの伝統を確実に受け継いでいる。正に紳士の直列6気筒だが、この1台にはイートン製M90スーパーチャージャーが装備されている。

そのお陰でスロットルレスポンスは実に鋭敏。49.8kg-mのトルクが徐々に伝達されると、ブロワーが唸るようなサウンドが聞こえてくる。それは決して耳障りではないし、5500rpmでピークパワーに達する時には大きな満足感を与えてくれる。

ステアリングのアシストは強すぎることもなく、ブレーキの制動力は揺るぎないものだ。スムーズな4速オートマティックと、田舎道でも穏やかな乗り心地については、このクルマのスポーティなイメージを損ねるかもしれない。しかしストレートでは、最高に寛げるツアラーといえるだろう。

1999年にV12ヴァンテージがその座を奪うまで、DB7アストン マーティン史上最高のセールスを記録した。今では6気筒モデルは希少だが、この方が維持費も安く、アストンの世界に入門しやすいことになる(フェラーリにそんなモデルはない)。

DB7には、アストン マーティンに相応しいメンテが必要であり、それなりの費用も掛かる。それでもドアミラーからリアフェンダーの膨らみを見返るたびに、このクルマを買って良かったと思うだろう。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記