フォードGT 2017年型、英国試乗 走りは世界クラス 細部への配慮がキモ

公開 : 2017.10.09 12:10  更新 : 2017.10.09 12:18

走り 能力が高いだけに細部の配慮求む

エンジンをスタートさせると、ひとを魅了するような甘い音ではなく、手段を選ばないような圧倒的なサウンドが襲ってくる。レスポンスは非常に鋭く、8500rpmからレッドゾーンとなる。かなりの注目を集めることだろう。

走行しはじめると、ストレートカットされたギアのメカニカルな回転音や振動はなく、ツインクラッチギアは驚くほど滑らかだ。ロードリーガルなレーシングカー、というほどのスパルタンさはない。

フォードGTにはウェット、ノーマル、スポーツ、トラック、Vマックスの5種のドライブモードがあるが、乗り心地は微妙だ。トラックとVマックスは車高が50mm下がり、スプリングレートは倍にまで硬くなる。アダプティブダンパーも備わり、ノーマルやコンフォートで発進すれば、平均的な路面なら流れるように追従してくれる。

しかし路面からの突き上げが大きくなるとサスペンションの処理が追いつかなくなる。ブッシュ類の変形やノイズなどは感じられないが、乗り心地は常にガタガタだ。

一方、ドライバーズカーとして見た場合、驚くほど強力なトラクション、手応えやレスポンスなどが煮詰められたステアリングフィール、安定したグリップとコミュニケーション豊かで、運転が上手になったように感じるシャシーが印象が公道の乗り心地を覆い隠す。

ただ、ボディ・コントロールは第一級のレベルであっても、他の同クラスのスーパーカーと比較すると、ボディサイズが大きすぎ、俊敏さも若干欠けてはいる。さらに気になる点と言えば、サウンドの変化に乏しいエンジンが挙げられる。

それと、イギリスでは路肩側に座ることになる左ハンドル専用ボディのため、視界が良くなく、運転を難しく感じさせてしまう。

スロットルを踏み込めば、スーパーカーらしい息を呑むような加速ができるだけに、フォードには細かい部分の見つめ直しと市場での戦い方を再考してほしい。

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