最終決着 BMW M3 vs アウディRS4 大番狂わせ起こるか 後編

公開 : 2017.11.26 15:40  更新 : 2018.01.22 22:47

あれ、RS4は勝ってしまう?

RS4の場合、クルマが今どんな状況にあるかを常に正確に把握できる。

コーナーの手前で減速し、ターンインを終えると、荷重の変化が外側のフロントタイヤからステアリングホイールを経て掌にありありと伝わってくる。

高負荷コーナリングの途中でもミリ単位のライン・コントロールが可能だし、脱出時にどのくらいのグリップが残っているかも正確に予測できる。RS4のほうがM3よりもアンダーステアが強く、絶対的なコーナリング・スピードも低い。

限界に達するとフロントが先に流れ出すアウディ特有のキャラも健在だ。だがそれ自体はさほど大きな問題ではない。重要なのは、RS4が自らの意志をはっきりとわかりやすく、ドライバーに伝えてくれる点である。

純粋なコーナリング能力としてはM3のほうが勝っているので、ドライバーが同レベルならほんの少しだけ速くコーナーを回れるかもしれない。しかしながらRS4にはM3ほどガムシャラにならなくても、より多くの能力をシャシーから引き出す歓びがある。

今回のテストの舞台は、南スペインの狭く曲がりくねった山道であった。しかも路面は劣悪。こういう状況下では、RS4のトラクションのアドバンテージが大きくモノを言う。

テストした区間の一部では、M3はそのトラクション能力の限界を露呈してしまった。乾ききった路面で3速にホールドした状態であったにもかかわらず、トラクションコントロールの警告灯はほとんど点きっぱなしだったのだ。対するRS4は、同じセクションで警告灯が点灯するどころかいたって平穏で、なんの不安もなく突っ走ることができた。

M3にとってはさらに悪いことに、直線路ではRS4のほうがほんの少しだけ速い。2500〜5500rpmぐらいの中低速域(つまりもっとも常用する回転域)でのパンチもRS4に歩がある。

さらにRS4の6段ギアボックスはM3のそれよりも操作が軽快で、クラッチも扱いやすいときている。M3はどうにも分が悪い。

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