リストラが欧州フォードを救った? 当時の中心人物に聞く、企業の勝ちかた

公開 : 2017.12.17 11:40  更新 : 2018.04.26 14:53

欧州フォードならではの「EV」の見方

彼は言う「7、8年前には電動モデルは市場に数えるほどしかなく、需要も数パーセントに満たないものでした。今では50以上のモデルがありますが、市場割合はまだたったの3.5%です。顧客獲得を急がなければなりません」

「皆さんがどう見るかが決定的でしょう」とオデールは言う。「電動化されたマスタングは問題児にもなり得るし、史上最速の加速マシンにもなり得ます。電動化されたF-150は単なる荷物運搬車にもなり得るし、建築現場の移動ビジネス・センターや通信センターにもなり得ます。電源を持っていますからね」

生産能力を抑えることが最近の彼の主な関心事だとすると、現在の世界の自動車生産能力に対するオデールの見方はとても面白い。

米国の1750万台市場では需要と生産能力はほぼ拮抗しており、欧州ではまだ生産過剰である。爆発的に成長している中国市場では、生産能力が需要を追い越し始めたところだ。したがって、コスト優位性を持つ国内メーカーが有利な状況といえる。

オデールは、フォード・グループ当時のボルボにいたときのことを誇りに思っている。その間にボルボは粛々とジーリーホールディングに売却されたのだ。

そして、そう、欧州フォードを利益の出る体質に戻したことも少し誇りに思っている。リストラなしには達成できなかったけれども。

「最近GMが欧州から撤退し欧州事業をPSAに売却することが持て囃されているのは、わたしにはなんとも皮肉なことです。なぜって、彼らは当時、整理ができなかったんですよ。一方でわれわれは重い決断を行って批判されましたが、こうしていまも欧州に残っているのですから」

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