追悼 マツダ山本健一元社長 歴代ロータリー、今のると? 試乗

公開 : 2018.01.07 15:40  更新 : 2018.01.07 16:30

追悼、マツダ山本健一元社長。同時にフェリックス・ヴァンケルの革新的エンジンの最大の信奉者であるマツダが、最初のロータリー・エンジンを出してから50年です。重要モデルのすべてを試乗します。

もくじ

コスモ誕生 そのとき
コスモ、乗ってみると?
コスモとRX-8 共通項
RX-3からの「ロータリー信仰」
RX-7とポルシェ924
速さではないRX-7の魅力
「特別な」3代目RX-7
ロータリー復活なるか

コスモ誕生 そのとき

租税優遇措置に端を発し、こんにちまで続いている技術的伝承はおそらくそんなに多くはない。しかし、これがロータリー・エンジンに対するマツダのひたむきな執念の源なのだ。

フェリックス・ヴァンケルの話は、ここ英国では多くのひとが知っている。彼の「不幸な」(と言ってしまおう)政治的背景と、往復運動するピストンの代わりに回転するローターを持ったエンジンの開発の話だ。

このエンジンはNSUがヴァンケル・スパイダーに積んで最初に製品化した(一説によると、NSUより前にスコダが1000Bベースのプロトタイプに搭載していたらしい)。

そこへ、ロータリー技術のライセンスを求めてマツダがやってきた。

風変わりな技術への興味から? おそらく。

伸び盛りのホンダに対抗する手段を探しに?それもある。

しかし税金の問題も大きい。ロータリー・エンジンは同サイズの従来型エンジンに比べ、はるかに高出力であることにマツダは気づいていた。当時の日本の税制では1000cc以下のクルマは免税だったのだ。

こうした理由でコスモ(国によっては110Sのバッジが付く)は誕生した。世界的な宇宙時代ブームから名づけられたらしい。

クルマのスタイリングには明らかにアルファ・ロメオからの影響がみられる。特にフロントのデザイン。奥に引っ込んだヘッドライトと低いノーズは、日本のフィルターを通したアルファ・デュエットそのままだ。後ろに回るとアメリカン・スタイル風でもある。四角いルーフラインなど1966年のフォード・サンダーバードによく似ている。

マツダはこのエンジンがNSUと同じ問題を抱えていることを理解していた。ローターが燃焼室の内壁をひっかいてしまい、先端部が摩耗するのだ。

伝えられるところによれば、エンジニアたちはローター・エッジのシールとして考え得る限りの素材 -動物の骨まで- を試したらしい。

チーフ・エンジニアの山本健一はチームのメンバーに「今後は、寝ても覚めても四六時中ロータリー・エンジンのことを考えてほしい」と頼み込んだ。

そしてついに、シールにアルミニウムとカーボンコンポジットの合金を使用し、同時にローター先端部の形状を変更することにより、エンジンは完成した。

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