初試乗 アストン マーティン・ヴァンテージ ライバルは911

公開 : 2018.04.17 10:10

重量配分は50/50 サーキットでは思いのまま

思い出して欲しい。確かにヴァンテージは911より重いが、車重は1630kgであり、依然として他メーカーのライバルとは十分に戦えるレベルにある。

そのメカニカルレイアウト(すべてがフロントアクスルよりも後ろに積まれている)が意味するのはフロント/リアで50対50の重量配分であり、選択できるタイヤは専用設計のピレリ-ゼロのみとなる。

さらに、このクルマを設計したのは、限界を超えてもなお適切なハンドリングが必要だと考える人間であり、3段階あるスタビリティ・コントロールは完全にオフにすることができる。素晴らしいプレゼントだ。

そして、サーキットでのヴァンテージは驚くべき存在だ。エンジンサウンドは期待どおりの猛々しさであり、(オプションの)カーボンセラミックブレーキのストッピングパワーは素晴らしく、温度上昇に悩まされることもない。

さらに2000rpmという低回転から発揮される69.8kg-mの大トルクにも耐えるタイヤはどんなドライビングをも許容する。

例え最もソフトなサスペンションモードを選んでも、そのボディコントロールは素晴らしく、ドライバーが座る車両中心を軸に旋回するような感覚によって、機敏さも十分に味わうことができる。フロントはドライバーが意図したとおりに向きを変え、リアのコントロール性は特筆すべきレベルの正確さだ。

シャシーに直接マウントされたリアのサブフレームは捩れなど感じさせない強固なもので、サイド方向の素晴らしい剛性に寄与している。このクルマのリアアクスルは、エンジンとe-ディフェレンシャル(状況に応じて100%ロックとフルオープンのいずれもが可能だ)からの要求を、そのままに受け止めることができる。

サーキットでパワーオンすれば、ドライバーの要求に的確なロックアップで応え、コーナリングラインは望みのままだ。

エンジンがフロントに低く搭載されている点ではフェラーリ488 GTBに似ているとも言えるだろうが、限界を超えたところでのバランスはさらに素晴らしく、サーキットでこれほど扱い易い現行モデルは他にないだろう。

レーサーのように走らせることもできるが、そんな走りをしても依然としてバランスに優れ、美しい程にニュートラルだが、911ほどの切れ味はない。つまり、両者は異なる方法でその素晴らしさを発揮しているのだ。911にはステアリングの正確さが、アストンには楽しさが宿っている。

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