回顧録 日産GT-R vs ポルシェ911 vs アウディR8 後編

公開 : 2018.04.21 11:10

日独スーパースポーツ3台比較試乗、後編です。今までの王者であった911はエルゴノミクスに難があり、洗練されたR8にかなわないと判断されています。結局、今回もGT-Rがあらゆる側面において911とR8を圧倒する結果となりました。

AUTOCAR JAPAN誌 66号

もくじ

前編
911にとって最大の脅威であったR8
環境性能も意識した911
セグメントを超えた勝負
GT-Rの圧倒的な速さ

後編
なぜ911は敗れたのか
RRの優れたトラクション
エンジン、ステアリングはR8が優位
全てを制するGT-R
新たな王者の誕生

なぜ911は敗れたのか

まずいうべきことは最初に言っておこう。911のキャビンについての話だ。

なぜかポルシェは911のダッシュボードをまともに造れないようで、ごく控えめに言ってもその設えには少々混乱させられる。

エルゴノミクスに欠落したところがあるとは言いたくないが、しかしR8のように洗練されたルックスとほぼ完璧に近いレイアウトのコクピットを相手にすると、哀れなほどそれが際立ってしまう。

相変わらず911は無意味な場所にスイッチがある。「design logistics(デザインの論理学)」と記されたドアの内側にあるすべてがあまりよろしくないことをさらに証明したければ、ステアリングホイール上にあるPDKのスイッチを見れば良い。ポルシェがなんと主張しようとも、PDKの操作方法は直感的とはほど遠いものだ。

おおよそすべてのメーカーのクルマにおいて、右側のパドルがシフトアップであり、左側はシフトダウンである。それが911ではステアリング両スポークの表にシフトアップのボタンがあり、そして同じく両方の裏にシフトダウンのボタンがある。つまり、あの奇妙奇天烈さで(悪)名高いティプトロニックと同じレイアウトになっているのである。

1日かけてライバルと伍してカレラSを運転したあとでもまだ、われわれの誰ひとりとしてその操作に慣れることはできなかった。コーナリングを撮影するときなど、3速から2速にシフトダウンしようとして、誤って4速にシフトアップしてしまったほどだ。

これは一歩間違えば大事故になりかねないし、この種のクルマではどう考えても容認できるものではない。だからこそポルシェはすでにボタンデザインの変更を進めているのだが、これはジャーナリストや顧客から批判や不満の声が殺到したからに違いない。

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