グランツーリスモ生まれ アウディeトロン・ビジョン・グランツーリスモ 試乗記

公開 : 2018.04.22 15:40


限界領域に迫れないほど高いポテンシャル

数周の慣熟走行を終えると、オールクリアのサインを出す助手席のフレイ。

わたしはスロットルを踏み込む。

シームレスかつ即座に、スピードだけでなくすべての密度が高められる。巨大なトルクと4輪駆動システムが生むトラクションが、爆発的にクルマを加速させる。気がつくと、スピードリミッターが効く225km/hに達していた。

テストコースの長いバックストレートで、このクルマの獰猛性を目の当たりにする。加速だけでなく、減速も暴力的なのだ。ブレーキシステムはアウディA4 DTMレースカーのものを利用しているが、電動化されている。カーボンファイバー製のブレーキディスクにレース仕様のキャリパー、ファットなスリックタイヤに巨大なリアウィングが組み合わさり、ストッピングパワーも凄まじい。

強力なダウンフォースがかかる状況でのブレーキングは、ABSも備わっていないから、どんなアウディのレースカーとも異なる。正直、高速域からのハードブレーキングはかなり難しい。初めに必要な分だけ、思いっきりベダルを踏み込んだら、減速とともに減少するダウンフォースにあわせて、ブレーキペダルを戻していく必要がある。しかも、ブレーキペダルからの感触はあまり豊かではないうえ、ストロークも短い。そして、左足でブレーキペダルを操作するのだ。

だから、初めはテールからスピンしてコースアウトすることを恐れ、左足に思いっきり力を入れることを恐れていた。でも、フレイの助言を受けながら、最終的にはビジョン・グランツーリスモが持つブレーキングのポテンシャルに近づけたと思う。

ステアリングフィールも確かで、フロントタイヤのグリップも極めて高いから、コーナリングスピードも恐ろしく速い。低重心に加えて、前後重量配分も50:50を達成していることも、大きく寄与しているだろう。

クルマを不安定な状態に持ち込むにはかなりのプッシュが必要な一方で、またたく間に加速を完了させてしまう。いまのわたしのドライビングスキルでは、クルマの限界領域に迫ることは難しいほどの速さを見せつけた、eトロン・ビジョン・グランツーリスモ。

ただし、電動のレースカーが持つ大きな魅力は、間違いなく実感することができたのだった。

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