イシゴニス賞 豊田章男(トヨタ自動車CEO) AUTOCARアワード2018

公開 : 2018.05.26 11:40

「もっといいクルマ」の追求

「生まれてからいつもクルマはそばにありました」と豊田は説明を始める。「でも小さいときには、それが好きだと言ってはいけなかったんです。社長になってGAZOO Racingを始めたことで、そういうことが言えるようになったんです」

楽しさを追求したからといって、世界でもっとも倫理的な自動車メーカーのひとつであるトヨタの屋台骨が揺らぐわけでもあるまい。トヨタの社員は昔から「事故ゼロ」、「死者ゼロ」、「排ガス・ゼロ」は達成可能だと言っている。彼らはまた、日本を水素社会にするために貢献できると信じている。もっともわかりやすいのがミライの発売である。車載の燃料電池(水素電池)で発電して電気モーターで進むクルマだ。停電時など必要とあらば家庭に給電することもできる。

一方で、「もっといいクルマ」への飽くなき追求(先達が造り出したフレーズで、豊田もよく口にする)はいささかも変わらない。ミライ、そして稼ぎ頭のハイブリッドカー・プリウスは、技術的にもっとも複雑なモデルであると同時にトヨタでもっともクレームが少ないモデルでもあるのだ。

話題が将来のクルマの話になると、豊田の考えは極めて明確だ。たとえトヨタのような企業がクルマ販売者からモビリティ・プロバイダーに変わったとしても(大手自動車メーカーはほとんど皆そうなると信じている)、クルマが「パートナー・相棒」でなくなることはない。コモディティ化することはないと彼は主張する。

「愛車」という言葉はトヨタが昔から好きな表現だ。最近でも、トヨタは新型のスポーツカースープラの発売を準備中だ(多くの部分をBMWの新型Z4と共有する)。スープラの後にも、MR2の後継車になると目されている第3のスポーツカーが控えている。

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