ロードテスト レクサスLS ★★★★★★☆☆☆☆

公開 : 2018.07.29 10:10

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

内装 ★★★★★★★★☆☆

エアサス仕様を選べば、クルマに近づくとロックを解除すると同時に、車高が40mm持ち上がってオーナーを迎えてくれる。ドアを開けると、運転席に仕込まれたモーターのかすかな唸りが耳に届くが、これはシートが乗降しやすいポジションへ自動的にアジャストされている証拠だ。座面が高くなるので、背の高いドライバーは頭をぶつけないよう注意してほしい。

これがLSの「ウェルカム・シークエンス」。ひとびとのあらゆるニーズだけでなく、気まぐれさえも先読みして手を打とうとしていることが、最初に感じられる部分だ。それらはよほどの無理難題を押しつけない限り、賢く、気が利いて、実に素晴らしく思える。

しかしながら、キャビンの息をのむほどの贅沢さや、非常に斬新なスタイルに感じられるセンスこそが、それ以上の見せ場だ。7600ポンドのプリーツパッケージに含まれる黒とクリムゾンのセミアニリンレザーは、素晴らしい手触りで、ステッチも美しい。それは室内の至る所を覆い、日頃から体の触れる場所ばかりでなく、ドアポケットの底にまで及ぶ。

そのレザーの話は、驚異的なインテリアを構成するさまざまな要素のひとつに過ぎない。プリーツパッケージには、職人が1枚の布をおりがみのように折って仕上げ、切り子調カットガラスで飾ったドアトリムも含まれる。

前席をみると、ドライビングポジションは良好で、シートは調整幅が広くて快適性が高く、それを包むスペースも十分にある。計器類は全てデジタルで、メーターパネルは異例に小さいが、ヘッドアップディスプレイのサイズは一般的なものの倍ほどもあり、フロントウインドウに投影されるそこから情報を得る時間の方が、ステアリングホイール越しに計器盤を覗くより長くなるはずだ。視線を路上から外さずにおけるので、このアイデアは好評価できる。残念なのはインフォテインメント・システムだ。詳細は使い勝手の項で触れるが、リモートタッチと銘打ったインターフェイスは操作に混乱を来すことがあり、ほかの部分でレクサスが見せるみごとな仕事ぶりを台無しにしかねない。

この手のクルマで重要度の高い後席はどうだろうか。広さは上々だが、他を凌ぐほどではない。電動リクライニングを備え、寝そべるポジションでも実に快適だが、SクラスやA8の域には達していないというのが、大方のテスターの意見だ。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記