ロードテスト メルセデス・ベンツAクラス ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2018.08.19 10:10

独創的パッケージを提案した初代から20年以上、ニーズに応えて姿を変え続けてきたAクラス。その最新モデルは、きわめてオーソドックスなプレミアムハッチバックとなりました。ディーゼル車の比較テストではアウディに惜敗したAクラス、そのガソリン車の実力を探ります。

もくじ

はじめに
意匠と技術
内装
走り
使い勝手
乗り味
購入と維持
スペック
結論

はじめに

ハッチバックのパッケージに、いささかの高級感をプラス。それこそ、メルセデス・ベンツAクラスが誕生から20年以上にわたって、欧州のプレミアムコンパクトを求める顧客層に示してきたコンセプトだ。とはいえ、1997年に登場した初代と最近のモデルとでは、ラグジュアリーの定義が全く異なっている。元祖ベビー・ベンツは、スペース効率を最優先したクルマだ。2018年の今、モダンで超コンサバかつ豪華なハッチバックが主流を占めるこのセグメントでは、立場を危うくしかねないほどの徹底ぶりだった。昨今の量販プレミアム5ドア市場では、横並びであることこそ正義となっている。

4代目へと世代交代を遂げたメルセデス名義で最小の乗用車は、そのラグジュアリーさを大きく引き上げた。初試乗やグループテストに連れ出したA180dでレポートしたが、ボディサイズは先代より拡大し、新規のプラットフォームとエンジンを採用。新たなテクノロジーも数多く導入し、競合するいかなるライバルよりも安全かつ先進的で便利、そして買いたいと思わせるクルマを目指した。

新型Aクラスは、このセグメントでも最大級のボディを持つこととなったが、これはパッケージングの妙を売りにした初代とは正反対のアイデンティティを示すものだ。かつては斬新だがやや独善的で奇妙な、背の高い型破りなクルマだったが、今回はスマートでリッチ、そして先進的だが、臆面もなく成功への近道を選んだフルサイズのハッチバックとなることを選んだともいえる。

となれば、このクルマは歴代モデルが立ち位置を模索し続けてきたマーケットでついに花開き、高い完成度と多目的性を備え、さらには運動性能も真に洗練されたものとなったのか。つまりはCセグメントの最高傑作であるフォルクスワーゲン・ゴルフアウディA3などに挑み得るクルマだといえるのか。ここで解明したいのはその点だ。

先に実施したグループテストでA180dは、BMW 116dをこそ退けたが、A3スポーツバック1.6TDIには僅差で勝利を譲った。そこで今回は、ガソリンターボ車の中間グレードであるA200シュポルトを持ち出し、欧州で最も重要かつ利益の見込めるセグメントのひとつで、メルセデスがトップクラスに食い込めるのかを占おうと思う。

 

意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

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