航空業界のエキスパートに訊く 自律運転の現実 クルマは航空機から何を学べる?

公開 : 2018.08.12 12:10

自律と自動の違い 冗長性が重要

「まずハッキリさせておかなければならないのは、自律運転と自動運転の違いです」とヘンリーはいう。「航空機では、例えドローンでも、自律飛行や、人間が介在しない飛行は禁止されています。現在の航空機は確かに自動化が進んでいますが、自律飛行ではないのです。一方で、システムの冗長性に関してはおっしゃる通りです。例えば、ボーイング777の場合、3つの異なるエリアに9つの独立したフライトコントローラーが搭載されています」

「航空業界の標準からいっても、これはやり過ぎかも知れませんが、これは単なる冗長性のレベルに留まらず、独立したコンピューターそれぞれの完全性に関する問題でもあるのです。航空業界においては、DAL(Design Assurance Levels:設計保証レベル)というものがあります。DAL Aが最高レベルで、次にDAL B、そしてDAL Cと続いていきます。スペック上は基本的にDAL AとDAL Bは同じであり、Bの場合、行うテストと確認作業が少ないだけです。ご参考までにですが、ソフトウェア作成に関するマニュアルの総ページ数は、1000ページにも及びます」

「ボーイング777のフライトコンピューターはすべてDAL Aとなっており、実質的にはすべてのコンピューターが完全に自己完結していると言えます。さらに、コンピューターはwi-fiやBluetoothなどで外部に接続されておらず、オンラインによるソフトウェアの修正や更新は不可能です。つまり、外部からの影響は完全に遮断され、安全だともいえます」

ここで、自律運転モデルにとって厄介な問題が持ち上がってくる。自動車の場合、地図や交通状況、周囲を走行するクルマといった情報を得るためには、外部接続が必要となるのだ。この条件のもと、どうすればクルマのソフトウェアとオペレーティングシステムを守ることができるだろうか?

エルマー・フリッケンシュタインは、BMWの自律運転モデル開発の責任者として、素晴らしい頭脳の集合体とでも呼ぶべき、1300人ものエンジニアチームを取りまとめている。フリッケンシュタインに、BMWの自律運転モデルが採用する予定の冗長性レベルについて質問してみた。

「ハードとソフトの両方に完全な冗長性を備えており、それぞれにバックアップシステムがあります」と彼はいう。「BMWの車両には、ライダー(レーザーレーダー)、レーダー、カメラやソナーといった機器から構成される30もの異なったセンサー群が、万一の不具合に備えた高レベルの冗長性をもって搭載されています」

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