航空業界のエキスパートに訊く 自律運転の現実 クルマは航空機から何を学べる?

公開 : 2018.08.12 12:10

統一ルールはこれから カギはソフトウェア

これは安心できる情報ではあるが、完ぺきという訳ではない。さらにフリッケンシュタインに、どのような基準に基づいてソフトとハード双方の開発を行っているのかを質問してみた。その答えは「BMW基準」ということだったが、現時点では自律運転どころか、高レベルの自動化システムに対する国際基準すら存在しないのだ。

21世紀だというのに、いまだにEVの充電プラグには互換性がなく、充電ネットワークには、当然そうあるべき共通性すら確保できていないのだから、この答えも当然だろう。こんな状況で、自律運転モデルに対する統一ルールに何を期待できるだろう?

さらに、システムに関して他に3つの懸念がある。ソフトウェアを作るのは人間だが、自律運転モデルに関しても、航空機同様、想定可能なすべての状況をカバーできるソフトウェアの設計開発を行う必要があるのだ。つまり、自律運転モデルの完成度と信頼性は、ソフトウェア担当者の能力次第ということになり、こうしたシステムをいかに維持していくかという問題もある。

自動車修理を行う側にも、クルマ、特にソフトウェアのもつ複雑さへの理解が求められることになるのだ。しかし、実際には診断ツールはすでに小規模な修理工場の手には余るものとなったばかりか、大規模ディーラーでさえ、ソフトウェア上の複雑な問題には手を焼いている。

ヘンリーは、現在自動車メーカーの広報担当者が盛んに喧伝している楽観的ともいえる見通しをどう見ているのだろう? 本当に彼らの見通しは正しいのだろうか?

「一般道から高速道路に進入した時点で、ドライバーからクルマへと運転操作が引き継がれ、高速道路から一般道へと戻った時点で、再びドライバーが運転操作を担当するというレベル3の自律運転であれば実現可能であり、今後数年のうちに実用化されるかも知れません」と彼はいう。

「不具合が生じた場合に、ドライバーに運転操作を返すという初期のレベル3の概念は上手く機能しないとして、ほぼ断念されています。条件次第でドライバーが安全に運転操作に復帰するのは困難です」

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