航空業界のエキスパートに訊く 自律運転の現実 クルマは航空機から何を学べる?

公開 : 2018.08.12 12:10

イメージ先行 どこまで信頼できる?

「運転操作範囲を限定したレベル4は実現可能ですが、インフラ側での莫大な投資が必要となるでしょう。田舎道まで含めたすべての道路で完全な自律運転が可能となるレベル5の実現にはまだまだ時間が必要です。2030年までの実用化が話題となっていますが、楽観的に過ぎると思います」

数年前、ボルボが作成したビデオを見たことがある。そのビデオのなかで、ドライバーは自動運転モデルの後席に座って、ゆっくりと新聞を読んでいた。多くのひとびとが、快適に移動しながら、時間を有効に使うというアイデアに魅了されているが、そう上手くはいかないだろう。実際には相当ドキドキさせられることになるかも知れない。

ブリティッシュエアウェイズでボーイング777の機長を務める友人のニックによれば、「これまでコックピットで過ごしてきて、ただ一度本当に恐ろしかったのは、ミラノ・リナーテ空港にオートパイロット(1967年に初めてデモンストレーションが行われた)で着陸した時でした。視界約95mのなか、前脚側のタイヤが接地するまで、まったく滑走路を確認することができなかったのです。操縦席に座りながら、すべてのシステムが間違いなく作動することを神様に祈っていましたよ」

まさに、悪天候のなか、夜の高速道路を時速113km/hで自律運転モデルに乗っていれば、同じような思いをすることになるだろう。

わたしはいま、いくつかの悪名高きLCCのフライトに比べれば、はるかに安心できる自動運転のアイデアを事業化しようと考えている。そして、この大成功間違いなしのビジネスで、大金持ちになったあかつきには、フェラーリ250 SWBを購入する予定だが、その時には公道でこのクルマを運転することは許されないかも知れない……。

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