自動車税改革 なぜクラシックカー分野が討議されないのか 海外事情は

公開 : 2019.01.01 09:10  更新 : 2021.10.09 23:32

日本の自動車にまつわる税が、なにかと話題の今、どうしてクラシックカーが討議されていないのでしょうか。また、海外の自動車にまつわる税は、どのような仕組みになっているのでしょうか。南陽一浩が探ります。

text:Kazuhiro Nanyo(南陽一浩)

もくじ

「タックスヘイブン」
未だ贅沢品扱い?
アメリカとフランスの事情
キーワード「コレクションカー」

「タックスヘイブン」

2018年初夏、豊田章男が就任したばかりの日本自動車工業会会長という立場から最初に声を上げたのが、日本の自動車関連諸税のあり方の異常さ、そして税制改革の必要性だった。

そもそも自動車を所有もしくは使用にかかる税の種類の多さたるや、日本は別の意味での「タックスヘイブン」、つまり徴収するお役所側にとっての天国という、お寒い状況だ。

まず保有税として、毎年かかる自動車税が米国の平均と単純比較で31倍、ドイツの2.8倍、フランスに至っては保有税自体が存在しないのだ。

日本の自動車関連諸税は、税の概念や趣旨として重複がやたらと多く、海外の自動車税制を都合よく採り入れて増やしたきらいがある。

自動車の所有や使用に、かくも多くの税がかかる考え自体が、個人の自由な移動を阻害し、電車や地下鉄といった公共交通機関に過大な負担をかけている原因であることを理解しない、元より後進国的な発想といわざるを得ない。

ようやく議論が起こったはいいが、環境性能とのトレードオフや、リース需要の伸張を踏まえて使用頻度や走行距離に応じた課税、地方自治体の利権を守るために税収自体を減らさないなど、枝葉末節で議論が展開して本来進むべき方向から早速、逸脱しているのだ。

記事に関わった人々

  • 南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。

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