987型ポルシェ・ケイマンS 前期と後期を比較 英国編集部員が中古購入

公開 : 2019.01.14 10:40


冷めない一目惚れの思い

わたしがケイマンSを始めて目にしたのは、2005年、ドイツ・ヴァイサッハでのプレビューでのこと。当時はまだ正式な発表が数ヶ月先で、運転する機会は得られなかった。ポルシェのテストドライバー、フィリップ・アーノルドが、メディアのカメラ撮影用に、濡れたスキッド路面で軽くドリフトしてくれる場面もあったが、基本的に殆どは乾燥路面でのプレゼンテーションだった。

運転席に座る時間はなかったが、ポルシェ製の新しいクーペに恋に落ちるまでの時間も、極めて短かった。何しろ、フラット6が、911よりも理想的な位置に搭載されていたのだから。もちろん、事実上のボクスター・クーペだということも分かっていたし、ポルシェがオープンボディに金属製の屋根を付けただけで、かなりのプレミアム感を演出しようとしていることに、少し図々しさ的なものも感じた。

発売時のケイマンSの価格は、ソフトトップのボクスターより、5210ポンド(71万円)も高かった。それでも、中古車になって値段がこなれたら、必ず購入すると心に誓ったのだった。その日からかなりの時間が経った。わたしの願望は、叶うこともなく消えてしまうのではないかと思うほどに。しかし数ヶ月前、その思いは急激に現実へと近づくことになる。初期型の、あまり状態が良いとはいえないケイマンなら、4桁ポンド(140万円)に限りなく近づいている事実に気付いたのだ。

早速わたしは、非常に安い価格が付けられた、15万kmの距離を刻んだ2.9ℓのクルマに目星をつけた。すでに14名のひとが興味を示していたが、わたしはその激安ポルシェを購入する勇気が、どうしても出なかった。しかし、それで心が再燃したのか、ケイマンが本当に欲しくて仕方なくなったのだ。

話はそこから急展開し、価格はだいぶ高く付いてしまったのだが、2018年8月に2009年式フェイズ2となる、黒い987型ケイマンSを手に入れることができた。購入したのは英国では名の通ったスペシャルショップからで、先の2.9ℓのケイマンと比べると2倍以上の費用がかかってしまった。

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