ミニ生誕60年 歴史と思い出を振り返る 限界への挑戦、まだまだ続く

公開 : 2019.03.03 07:50

ニューミニ

BMWによる買収以前、ミニはコンスタントに売れ続けてはいたものの、なかば放置されているような状況が長く続いていた。

オリジナルミニの生涯における唯一とも言える大掛かりなスタイリング上の変化は、1969年、やや豪華さを増してロングノーズを与えられたクラブマンの登場であり、このクルマは1980年にミニ・メトロが登場するまで、11年間にわたって生産が続けられたことで、ミニの販売は低迷することとなった。

だが、定期的に限定モデルを投入することで、ミニはその魅力をふたたび取り戻すことに成功したのであり、そうした限定モデルの1台が1990年に登場し、大ヒットを記録したクーパーだった。

もしかしたら、クーパーの復活が、当時BMWトップを務めていたベルント・ピシェッツリーダーの大胆な計画に自信を与え、ブリティッシュ・エアロスペース社からのローバー買収という、誰もが驚く決断を促す結果になったのかも知れない。

イシゴニスのいとこでもあるピシェッツリーダーは、ミニの正統な後継モデルを生み出すという熱意に溢れており、その結果、コンペで選ばれたフランク・スティーブンソンとデーブ・サディントンのデザイン案から、初代を見事に生まれ変わらせた新たなミニが誕生している。

ボディが拡大されていたものの、その姿はミニそのものであり、変わらぬスポーティさと、オリジナルミニを彷彿とさせる数々のディテールによって、このクルマに懐疑的なひとびとの声を打ち消すことに成功しているが、エンジンサウンドまでもが、オリジナルが積んでいたAシリーズを真似てチューニングされていた。

2001年にニューミニが登場すると、強気とも思えたBMWの想定を上回るヒットモデルとなったが、これは、ミニブランドが辿った経緯を考えると驚くべきものだった。

BMWはミニを残す一方で、ローバーは売り払い、当初バーミンガムが予定されていたその生産工場をオックスフォードへと変更するとともに、最終の開発作業をエンジニアリング会社のリカルド社に委託している。

好調なセールスに支えられ、ミニは急速にそのバリエーションを増やしており、そのなかには、コンバーチブルや、クラブマン、カントリーマン、ロードスター、クーペ、クラブバンといったモデルが含まれている。

いまのオーナーがオリジナルミニのことをほとんど知らなくとも、ミニの伝統はこのクルマをさらに進化させることになるだろう。

現代のオーナーにとってのミニとは、モダンで魅力的な、唯一無二のプレミアムブランドであり、EVミニはまさにそうしたモデルとして登場することになる。

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