ロードテスト ボルボV60 ★★★★★★★★★☆

公開 : 2019.03.10 09:50

今度こそ、真のプレミアムブランドへの昇級を目指すボルボが送り出したミドル級ワゴンは、高級感満点で、自社製シャシーの走りや乗り心地も上々。しかし、ディーゼルエンジンの洗練度は、このクラスの最高水準には届いていませんでした。

もくじ

はじめに
意匠と技術
内装
走り
使い勝手
乗り味
購入と維持
スペック
結論

はじめに

チャレンジを好むひとびとにとって、フォードに押し付けられたボルボの変化を控えめに抑え続けようとした8年間は辛抱の日々だっただろう。しかし、チーフデザイナーのトーマス・インゲンラスのもとで、この北欧ブランドは美しくパワフルなスタイリングをまとった一連のコンセプトカーを次々と発表すると、続いてそれとの関連性がみてとれる市販車の数々を世に放った。

エンジニアたちは、経済性からみて存続可能性を見出せる、効果的なパワートレイン戦略を打ち出した。それは、ディーゼルとガソリンの4気筒エンジンにターボやスーパーチャージャー、はたまたプラグイン・ハイブリッド技術を組み合わせ、幅広いラインナップに適合させるというものだ。

この2019年には、48Vマイルドハイブリッドの導入も果たされる予定だが、これはディーゼルゲート後の欧州市場対策を視野に入れてのこと。また、自動運転技術への需要や定額サービスでの購買に対する大きな展望にミートできる計画も進められている。

いまや、多国籍に展開する中国の吉利による援助のもとで、ボルボは記録的な利益を上げ、クラスベストへの弛まない挑戦を続ける抜け目ない組織となっている。古びた240GLが淡々と40万kmもの走行距離を重ねるようなやり方が、地味に評価されるブランドだった頃と、状況は一変したのだ。

そこで、今回のV60を見てみよう。2010年に登場した先代は、ボルボとしてはそれまでになく流麗なワゴンだったが、新型はではブランド戦略通りの変身を遂げたのだろうか。採算は二の次でラインナップされている、と聞いたら驚くだろう。プレミアムセグメントのワゴン市場は縮小が続いており、ファミリーカー需要は他ジャンルへ流出して久しい。しかし、プレミアムブランドは自ら見出した意欲的な訴求ポイントを強固なものにしようと考えるもので、ボルボが一線級のブランドだと認識されるためにはワゴンの存在が不可欠なのだ。

たとえばBMW3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスアウディA4は、実用性と商品性、そしてパフォーマンスといった要素をその訴求ポイントとし、おそらくは成功したと言えるだろう。それも賞賛すべきことだが、中型ワゴンを多数ラインナップするというのも、ドイツ勢との差別化を明確にするためには得策なのではないだろうか。そんな納得できるコンセプトから生まれたラインナップの最新世代にある新型V60は、クルマとしての出来栄えもまた納得のいくものなのだろうか。

 

意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

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