AUTOCARアワード2019予選 真のアイコン選手権 決めるのはあなた(中編)

公開 : 2019.03.16 11:50  更新 : 2019.06.03 08:54

マツダMX-5(日本名:ロードスター)

35年にわたりMX-5を作り続けているマツダだが、このクルマの素晴らしさを台無しにするような間違いは犯していない。重量増とボディの肥大化を避け、パワーもほどほどにシンプルなままだ。さらに、依然として手に入れやすいモデルでもある。素晴らしいと思わないだろうか? ポルシェ911でさえ、最新の992がそうであるように、やや重く、やや幅広く、やや速くなっているのだ。

1989年にMX-5がデビューした時、手ごろなロードスターというカテゴリーはほぼ死に絶えていた。MX-5のようなクルマは、われわれ英国人が得意にしていたはずであり、ミジェットやMGB、スピットファイアといったモデルは、例え動力性能は素晴らしいとは言えず、その品質はお粗末だったとしても、その運転はファンの一言であり、誰でも手に入れることのできるクルマだった。

明らかに、MX-5がお手本にしたのはロータス・エランであり、このクルマが最後にヘーゼルから送り出されたのは、MX-5がデビューする16年も前のことだった。エランのスチール製バックボーンシャシーは、例え横から突っ込んでくるのがウサギだったとしても、どんなサイドインパクトテストにも合格することはできなかっただろう。

MX-5が英国上陸間近と聞いた時の興奮はいまでも覚えており、このクルマを初めて運転した時のことを忘れることはない。1万4250ポンドという価格を聞いて、真剣に購入を考えたが、当時の金利は10%以上であり、家賃を支払う必要もあった。

インテリアはプラスチックを多用していたものの、マツダではMX-5にモモ製ステアリングを与えるとともに、シフトレバーはレザー仕上げだった。エラン同様、MX-5はポップアップ式ヘッドライトを採用していたが、エランとの違いは、常にこのヘッドライトがキチンと作動していたということだ。


NBと呼ばれる2代目(ありがたいことに、マツダではMX-5に非常にシンプルな命名方式を採用しており、NAから始まった型式は現行ではNDとなる)では、ポップアップ式ヘッドライトこそ採用されなかったものの、それ以外はほとんど初代と変わることはなく、さらに、NCでは大きな進化を遂げたものの、MX-5のレシピそのものは大きく変更されてはいない。

マツダは現行MX-5の発売に際して、歴代モデルすべてグッドウッドに集め、初代から順に運転する機会を設けてくれた。驚きだったのは、現行モデルよりも、過去3世代のMX-5のほうが運転を楽しむことができたことだったが、サーキットという場所が、大きな違いを作り出していたのかも知れない。

1989年には金利の高さによってMX-5を諦めざるを得なかったが、1992年には子供が生まれたことで、さらにオープン2シーターが遠いものとなってしまった。だが、今年23歳になるその娘がNAを購入したのであり、その車両は、存在を忘れていた1600ccエンジンを積み、マニュアル式のウインドウとノンアシストのステアリングを持つモデルだった。

走行距離も非常に少なく、オリジナルの状態を保っており、実際に運転してみたところ、その素晴らしさに衝撃を受けた。経験上、久しぶりの再会で、改めて驚かされるなどということは、最高のクルマでしか起こり得ない。

マツダがMX-5を無くすことなどないだろう。それでも、いつか電動化される日が来たとしても、EV版MX-5が軽量、コンパクトなまま、ほどほどの速さを持つモデルであれば、わたしのこのクルマへの愛情が変わることはない。
(コリン・グッドウィン)

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