アルピーヌA110 毎日乗れる最高のスポーツカー 真のライバルは初代911?

2019.04.06

初期不良? 特別な存在

このクルマで出かけようとしたときに、2回出発できないことがあった。ある朝、運転席側のウインドウが少し下がった状態で、完全にエンジンが始動できなくなっていたのだ。貧弱なリチウムイオンバッテリーを積んだスターターがまったく役に立たなかっただけでなく、繋いだバッテリーチャージャーは完全に使い物にならなくなってしまった。

強力なスターターキットを携えてやってきたルノーのディーラーマンによって、ふたたびエンジンに火が入り、その後、徹底的なチェックを受けた状態で車両は戻ってきたが、どうやら室内灯を点けっぱなしにしたことが原因だったようだ。

確かにそうかもしれないが、長期テストの最終日前日、同じような症状が再発した時には、間違いなく室内灯は消していた。ふたたび別のバッテリーチャージャーで再始動を試みたものの、結局こちらも使い物にならなくなったのだから、まったく何も学んでいなかったとうことだろう。

長期テスト車両はプレス向けに生産された左ハンドル仕様の量産前モデルであり、こうしたトラブルの原因が、担当者の不注意ではなく、なんらかの明らかになっていない電気的な不具合にあるとすれば、すでにその原因が特定され、量産モデルでは改修が完了していることを望むばかりだ。

だが、A110は完ぺきではないものの、素晴らしいモデルであることに間違いはない。同じような金額で手に入れることのできるクルマでは考えられないが、例え短い距離をゆっくりと走らせても、A110はすべてのドライビングを特別なものにし、常にドライバーにこのクルマのステアリングを握りたいと思わせる。

その低いドライビングポジションは素晴らしい走りを予感させ、その小排気量4気筒ターボエンジンはこれまで運転したなかで最高の扱い易さで、デュアルクラッチ式トランスミッションとも見事なコンビネーションを見せる。それでも、マニュアルギアボックスを選びたくなるかも知れないが、残念ながらその設定はない。

だが、それがA110のやり方であり、このクルマを傑出した存在にしているものなのだ。こうしたクルマをカーパーク・カーと呼んでいるが、そう呼ぶことのできるクルマは非常に少ない。カーパーク・カーとは、駐車場を出るまでも無く、乗り込んだだけでドライバーに信頼を感じさせてくれるクルマのことを言うのだ。

A110が路上で見せる軟らかくしなやかな乗り心地は、他の現代のスポーツモデルとは一線を画しており、懐かしさを感じさせる。同じくステアリングも、オフセンターで妙にクイック過ぎるなどということはなく、電動式パワーステアリングには期待できない、リニアで正確な反応を見せる。

例え冬の混雑した路上やウェット路面であっても、常にA110は他の多くの純粋なスポーツカーよりも、本物のスポーツカーであることを感じさせるのだから、このクルマは特別な存在だと言えるだろう。

 

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