クラリオンを傘下に 仏フォルシア(Faurecia)とは?

公開 : 2019.04.15 14:10  更新 : 2021.03.05 21:28

買収 3つのメリット

フォルシアが考えた買収のメリットの1つは、新世代コクピット分野のシナジーである。

とりわけイマーシブ(3次元没入型)サウンドシステムは、自動車の世界では新しい領域だ。将来は、クルマのコクピットから丸いスピーカーが姿を消し、「サーフェス・サウンド」という形をとる。

サーフェス・サウンドでは、インテリア・デザインの自由度が広がるだけでなく、質の高い音を、非常に軽量かつ低いコストで実現できる。このうち、高品質な音響についてクラリオン・ブランドの力を発揮できるわけだし、彼らの次世代コクピットの技術力が活かせることになる。

また2つ目として、レベル5の完全自動運転の実用化には長い時間がかかることにも言及。それまでの期間は、クラリオンが培った画像処理技術(サラウンドアイ)や、自動駐車・自動入出庫などの次世代低速ADASが、この分野のキーになると評価した。

コラーCEOは、日本におけるクラリオンのブランド力の高さにも触れた。北米・欧州・中国で強いフォルシアが、日本で強いクラリオンを仲間に入れるのは、双方にとって実に合理的な判断だったという。クラリオンが弱かったアメリカ/ヨーロッパにも新しい商品を提供していけると強調した。

フォルシアのコラーCEOは、シート事業部門の上級副社長時代に、日本発条とフォルシアの合弁会社「フォルシア・ニッパツ」との提携を広げ、ルノー-日産向けの業務を拡大してきた実績がある。

グローバルな活躍の場を手に入れたクラリオン・ブランド。その名を冠したカーナビ製品などは今後も展開されていくという。「技術者集団」は大きなチャンスを手に入れたように思える。

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