急発進事故 なぜプリウスが目立つのか 解決策ある? マニュアル車も視野に

公開 : 2019.06.07 19:10  更新 : 2021.10.22 10:18

頻発する交通事故をいかに防ぐべきか

交通事故は、進行方向の異なる歩行者や車両が接近して交わることによって発生する。従って異質の移動物を「接近させないこと」が交通事故を防ぐ効果的な対策だ。

例えば交差点を歩行者が横断する時には、車両の信号は全方向を赤にする制御がある。この場合、車両が横断する時は、歩行者は全員が歩道に待機する。これなら歩行者と車両が接近して、進路が交わることはない。

また高速道路やバイパスの建設も交通事故防止に効果がある。街中を通過する車両の台数を抑えられるからだ。走行する車両が減れば、歩行者と車両が接近する回数も下がる。道路整備をさらに進めて歩行者と車両を完全分離に近づければ、交通事故を大幅に減らせる。

ただし一連の交通事故は、この定石から逸脱した面もある。信号無視や逆走などの暴走を行い、歩道に進入したケースまであるからだ。交通事故の当事者になった車両が歩道へ進入しないよう、段差を設けることは大切だが、横断歩道の部分はバリアフリーのためにスロープにせざるを得ない。

つまり一連の交通事故は、もちろんドライバーの過失によって生じたが、事故の被害はその範囲を超えている。アクセルペダルを故意に踏み込んだのと同様の状況だ。

この事故を防ぐには、まず車両側の安全装備が重要になる。衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)が、万全とはいえないが、有効に作用する。

低速用については、音波センサーを使った後付け安全装備も市販されている。トヨタが用意するタイプは、停車、あるいは車庫入れなどのために前/後方向に徐行している時、障害物に向けてアクセルペダルを深く踏み込むと、エンジン出力を自動的に抑える。後退については、障害物がなくても作動する。

この安全装備は、プリウスやポルテ&スペイドなどを対象に用意され、価格は5万5080円だ。これらの機能を65歳以上のドライバーが装着する時には、半額を交付するといった補助金制度を設けて良いだろう。今は電気自動車やプラグインハイブリッド車に補助金を交付しているが、安全装備を優先させるべきだ。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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