ポルシェ・タイカン EVのベンチマークを塗り替える

公開 : 2019.09.12 16:50  更新 : 2021.02.10 17:27

現在開催中のフランクフルト・モーターショーで、ポルシェ初の市販EVタイカンが展示されています。技術詳細やスペックの数字を見れば、既存のライバル車を大きく凌ぐパフォーマンスを予感させます。ただし、価格はそのぶん高めです。

ライバルは色を失う

現在フランクフルト・モーターショーで展示されているポルシェタイカンは、路上を走り始めれば電気自動車におけるパフォーマンスのベンチマークを書き換えることになるだろう。公式に発表された技術スペックとデータは、すべての主なライバルたちがあらゆる分野で色を失う予感を示している。

タイカンの性能における鍵となったのは、ポルシェによれば、非同期モーターではなく永久磁石同期モーターを採用したことにあるという。非同期モーターはより安価だが大きくて重くて安定性が低い。熱管理や高効率という利点を考えれば、コスト増は正当化できるとポルシェは言う。

ポルシェ・タイカン
ポルシェ・タイカン

容量90kWhのバッテリーを搭載するタイカンの車重は約2.2トンにもなるが、現在販売されている他のどのポルシェ車よりも重心が低い。918スパイダーに匹敵し、前後重量配分は理想的な49:51に収まっている。

電子制御されるモーターの性能は、タイカンのレスポンスとハンドリングを拡大させた。このプロジェクトに関わる内部関係者によれば「クラス最高というだけでなく、既存のレベルより大幅に先へ行く」必要があったという。スロットルレスポンスは内燃エンジン車の5倍も鋭く、電子制御ディファレンシャルは機械式と比べて50倍も速く車輪の空転に対応できるという。ポルシェ・スタビリティ・マネージメントは、スポーツ・モードに設定すればその介入を制限することができる。またはエンスージアストのために完全にオフにすることも可能だ。

ニュルのタイムは997型911GT3と同等

既存のライバルたちより優れているのは電子制御システムだけではない。パナメーラ用をベースにした3チャンバー式のエアサスペンションは、高速走行時に車高が22mm低くなり、空気抵抗を減らし重心を下げることができる。路面に段差などがある状況では、20mm引き上げることもできる。

タイカンにはポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロールがオプションで用意される。これもパナメーラのシステムを使ったもので、最大横Gが掛かっている状態でも数ミリ秒で反応するアクチュエーターがボディのロールをほぼゼロに抑え、アンダーステアやオーバーステアの発生を防ぐ。さらに後輪操舵システムが、高速旋回時の安定性と低速域における取り回しの良さを両立させる。

ポルシェ・タイカン
ポルシェ・タイカン

ポルシェによれば、タイカン・ターボに搭載されている2基のモーターは、合計で最高出力680psと最大トルク86.7kg-mを発生し、0-100km/hまで3.2秒で加速するという。さらに高性能なターボSでは、オーバーブースト時に761psと107.1kg-mを発揮。0-100km/h加速は2.8秒となる。

リア・アクスルには2速ギアボックスが搭載されており、発進時には低いギア比で力強く加速するとともに、高速走行時には高いギア比でモーターの回転を下げることができる。

選択したモードによって、タイカンは四輪駆動、後輪駆動、前輪駆動のいずれにも切り替えることができる。ニュルブルクリンクでは既に4ドア電気自動車の最速ラップ記録を更新した。その7分42秒というタイムは、997型911GT3とほぼ同等だ。

比較のために挙げると、テスラモデルSはルーディクラス・モードを使えば、0-100km/hまで2.4秒で加速できる。しかしながら、タイカンは最大の加速性能を繰り返し発揮することができるとポルシェは主張する。話によると、ポルシェのエンジニアは26回の全開加速テストを繰り返した後、加速Gにより気分が悪くなり、それ以上のテストを続けることができなかったという。

一方、テスラのルーディクラス・モードは、ベストな加速性能を発揮するためには最適な温度とバッテリーの充電状態が求められ、何度も繰り返し使えるものではない。

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