F22型 M2コンペをチューニング ACシュニッツァーACS2 503psに305km/h

公開 : 2019.09.28 09:50

ドイツ・アーヘンを拠点にするチューニング・ブランド、ACシュニッツァー。BMWのコンプリートカーで有名ですが、現行モデルの中でも最も甘美なハンドリングを持つM2の魅力を、さらに引き立てることにも成功したようです。英国で評価しました。

ル・マンでの優勝経験もあるACシュニッツァー

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

BMWの多くの車種をチューニングしてきたACシュニッツァー社。その始まりは、1987年のフランクフルト・モーターショーで発表された、E32型7シリーズをベースにした「ACS7」だった。

だが、シュニッツァー自体はさらに1963年にまでさかのぼる。シュニッツァー・モータースポーツとして、BMW 635 CSi、E30型M3グループAなどと同様に、BMW 2002tiなどをベースにしたツーリングカー選手権に参戦していた歴史を持つ。

ACシュニッツァーACS2スポーツ・コンペティション
ACシュニッツァーACS2スポーツ・コンペティション

1999年にはBMWモータースポーツ・ワークスチームとしてV12 LMRを走らせ、総合優勝している。2012年になるとE92 M3 DTMでDTMへ復帰し、カナダ人レーサーのブルーノ・スペングラーのドライブで、タイトルを獲得している。モータースポーツでの活躍は確かなものだ。

ロードカーを初めて開発したのは1987年で、それ以来ほとんどすべてのBMWモデルに手を加えてきたACシュニッツァー。Mディビジョンが現在提供するモデルの中で最も素晴らしいハンドリングを持つクルマを、更に良くすることはできるのだろうか。素材は望外に良い、M2コンペティション。当時と違って、自由度も低いはず。

ACS2という名前は、2015年にオリジナルのBMW M2がリリースされた際のチューニング・モデルにもあてがわれていたから、目新しさはない。2019年版はM2コンペティションがベースのACS2スポーツ「Mk2」だと考えた方が良いだろう。

モディファイは良くできる部分には手が加えられ、それ以外の部分はそのままだが、2万5000ポンド(325万円)もの費用がかけられておりACS2に不足はない。ちなみに装着したいパーツはユーザーが選べる。どの程度の変化なのか、新しいACS2スポーツを確かめてみよう。

見た目だけではないチューニング

手始めにS55と呼ばれる3.0Lの直6エンジンは410psから503psへとパワーアップされ、パワー・ウエイト・レシオはM4 GTSを超える数値を獲得している。M4 GTSは高価なウォーター・インインジェクション・システムを備え、価格も12万ポンド(1560万円)に達するのだから、5110ポンド(66万円)の内容としてはかなりの戦闘力向上といえる。ちなみに、エンジンカバーの塗装をすると、490ポンド(6万円)の上乗せとなる。

2830ポンド(37万円)のスポーツエグゾーストには、もとから付いているガソリン・パティキュレート(微粒子)・フィルター(GPF)と電子制御バルブが残される。サイレンサーは小ぶりなものになり、テール周りのアピアランスを美しく仕上げている。太いマフラーカッターはマット仕上げのカーボンファイバー製。好みでクローム仕上げかダークセラミック仕上げも選べる。

ACシュニッツァーACS2スポーツ・コンペティション
ACシュニッツァーACS2スポーツ・コンペティション

スタイリングの面では、ACシュニッツァー・オリジナルのフロントスプリッターにサイドスカート、ルーフエンドとトランクリッドのリアスポイラー、リアディフューザーが追加され、すべてカーボンファイバー製となり、合わせて4635ポンド(60万円)。

トランクリッドには高くそびえるウイングも選べ、2840ポンド(27万円)。ガーニーフラップは130ポンド(2万円)となる。ACシュニッツァーは、全てが意味のあるダウンフォースを発生させるとしている。これらの明らかな仕上がりを実際に目前にすると、それぞれの価格は比較的安く思える。

6カ月の開発期間を掛けて生み出されたACシュニッツァー製のRSサスペンションは、2640ポンド(34万円)。標準のM2コンペティションとは異なり、伸縮、伸長それぞれ減衰力を手動で調整が可能で、車高も最大40mmも下げることができる。ちなみに鮮やかなサンセット・オレンジの塗装は、BMWの標準色となる。

おすすめ記事

 
最新試乗記

試乗記の人気画像