新型フォルクスワーゲン・ゴルフ8代目 発表直前情報 後編 内外装/テクノロジー

公開 : 2019.10.03 16:50

テクノロジーと環境性能はクラス最高に

8代目ゴルフに3ドア・ハッチバックは設定されないこともわかっている。VWは5ドアとワゴンに集中することでラインナップを整理し、コスト対効果や利益率の拡大を狙う。ワゴン型のヴァリアントはホイールベースが50mm延長され、リアのオーバーハングもハッチバックより長くなる。

VWの販売およびマーケティング担当取締役のユルゲン・スタックマンは、次のように述べている。「長年の間、ゴルフは欧州において、並ぶ者のない首位の座を守ってきました。モデルライフ末期となる現在も、非常に多くの販売を維持しています。われわれの仕事は、この市場シェア1位を堅守することです」

新型フォルクスワーゲン・ゴルフ試作車。
新型フォルクスワーゲン・ゴルフ試作車。

「次世代モデルには、この地位を守るために必要なすべての技術とすべての進歩がもたらされます。明らかに、歴代最良のゴルフとなるでしょう。同クラスで最良のCO2排出量と最高のテクノロジーを備え、そして最もデジタル化が進んだモデルになります」

世間の注目がID.3と分散してしまうことを避けるため、新型ゴルフは発表が遅らされることになった。スタックマンはID.3とゴルフの棲み分けにも留意している。

「ゴルフを選ぶ人の思考と購入理由を見れば、顧客がゴルフに求めるものは変わっていません。かれらはゴルフがゴルフだから好きのです。新しいテクノロジーは好みますが、突飛なものは好みません」

「長期的には、おそらく6年から8年の間には、ゴルフとID.3の顧客は重なっていくことでしょう」

8代目ゴルフが直面する問題

VWのID.3に対する野心に耳を傾けていると、次期型ゴルフの存在を見落としがちだ。VWはID.3の発売初年となる来年の世界販売台数で6桁を目指しているという。素晴らしい。しかし、依然としてゴルフは世界で最も売れているモデルの1つであり、昨年は世界で73万台以上を売り上げた。トヨタカローラの93万台にはおよばないものの、ゴルフは欧州で人気が高く、VWはそれを維持したいと考えている。

8代目ゴルフが挑まなければならない難題の1つは、7代目ゴルフが築き上げた全方位にわたる魅力を維持することだ。VWはエンジン・ラインナップやトリムレベルを整理しようとしているが、それで今までのように、あらゆる年代・収入の人々をカバーすることは難しいだろう。

フォルクスワーゲンID.3
フォルクスワーゲンID.3

一方で、新型ゴルフに採用される多彩な先進テクノロジーは、これまでゴルフが評判を得てきた人間工学的な使いやすさや、品質に対する満足度を落とすことがあってはならない。特に後者において、ID.3は発表イベントで展示された量産前試作車を見る限り、7代目ゴルフの水準に達しているとは思えなかった。ゴルフの伝統的な美徳のすべてを保つことは、非常に困難な仕事に思われる。われわれは息を詰める思いで、その仕上がりを見守るしかない。

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