メルセデス・ベンツ500E(W124) 前編 ポルシェが作ったモンスター

2019.10.12

走行20万km、当たり前

1990年代の空気感を肌で知らない人が、500Eのスペックに目を通しても、このクルマの本当の凄さは理解しにくいだろう。

2Lの直4ターボでも400psを軽く凌駕できることはメルセデス自身が証明しているし、速いといってもツーリングカーレースに出場して活躍したわけでもないのである。

E500が積むM119E50型5L V8 DOHCエンジン。R129型の500SLとともに1989年にデビューしたこのエンジンは、ツインターボ化されてザウバー‐メルセデスのグループCカーであるC9とC11のパワーユニットとしてモータースポーツでも結果を残している。 出典:メルセデス・ベンツ
E500が積むM119E50型5L V8 DOHCエンジン。R129型の500SLとともに1989年にデビューしたこのエンジンは、ツインターボ化されてザウバー‐メルセデスのグループCカーであるC9とC11のパワーユニットとしてモータースポーツでも結果を残している。 出典:メルセデス・ベンツ

21世紀のクルマ作りはエンジニアやデザイナーによる実作業と同じくらい、マーケットの動向とブランド全体のイメージ作り、モジュラー設計によるコスト削減といったものが重要視されている。

かつてのように「クルマ好きの有志が会社に居残って作り上げた意欲作が上司の目に留まって商品化」といった熱量の大きなストーリーは生まれにくいのである。

設計の初期段階からラインナップの全てが想定され、ハイパワーモデルから順に設計していく手法が一般的なのである。

つまり500Eの開発にあたってポルシェがしたように、当初の設計にない大きなエンジンを搭載するため、バルクヘッドやセンタートンネルの形状を変更するような荒技は、現代の自動車作りではありえないのである。

ミディアムクラスの品格を失うことなく、中身には徹底的に手を入れ、生まれた時から王位を継いでいる500E。

中古車市場では20万km、30万kmを越えた個体でも当たり前のように高値が付く。これこそが世の中が認めたこのクルマの価値なのである。

 
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