交換したくてもできない なぜメーカー純正の一体化ナビ/オーディオが増えた?

公開 : 2019.10.22 06:00  更新 : 2021.10.13 13:59

むかしは交換することも楽しみの1つだった、カーオーディオ。いまはメーカー純正として、インテリアに組み込まれているものが増えてきました。交換可/不可、それぞれの良し悪し、メーカーの狙いを小鮒康一が探ります。

カーオーディオ 昔は交換前提の人も

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

一昔前のクルマ好きにとって、新しくクルマを購入したときに真っ先に検討したのが、オーディオのアップグレードではなかっただろうか。

90年代ごろのクルマに純正で装着されていたオーディオは、お世辞にもいい音が鳴るという類のものではなく、最低限の音が出るという代物だった。

かんたんに交換できた、かつてのカーオーディオ。
かんたんに交換できた、かつてのカーオーディオ。

オプションとしていくつか他のオーディオのラインナップもしていたが、どうせ同じくらいの費用をかけるなら自分好みのアフターマーケット品に交換したいと考えるクルマ好きが多かった時代である。

そして2000年代に入るとカーオーディオだけではなくナビゲーションシステムも一般的となり、せっかく純正オーディオがされていても交換してしまうユーザーが増えてきた。

ということで、新車の状態ではオーディオ、ナビ類を一切装着されない「オーディオレス」という仕様が一般的となっていた。

スピーカーや基本的な配線類は備わっているものの、ヘッドユニットとなるオーディオやナビは数あるオプションの中から、もしくはアフターマーケット品からお好きなものを、という配慮から生まれた方式だった。

一方でオーディオ類にこだわりのないユーザーからしてみると、別途オーディオ類を用意しなければならないというデメリットも生じていたと言えるだろう。

再び純正装着の波がやってきたが……

そして時代は流れて現在。

再びオーディオ、ナビゲーションは純正で装着される流れとなってきた。

インテグレーテッド(一体型)オーディオの一例。交換を前提としていない。
インテグレーテッド(一体型)オーディオの一例。交換を前提としていない。

しかし、過去と大きく違う点が1つ。それが各メーカー独自規格の形状を採用しているのである。

これまでのオーディオ類はドイツ工業規格である「DINサイズ」を採用していた。幅(横寸)180mm×高さ(縦寸)50mmを1DINサイズとしてきた。

これによって車種メーカー問わずにアフターマーケット品のオーディオ類を装着することができていたのだ。

一方、最近のモデルに採用されている純正品はインパネのデザインにマッチした専用品。DIN規格を全く考慮していないものとなっている。

一部のメーカーやアフターマーケット品ではDIN規格のオーディオ類を装着できるようなインパネが用意されている車種も存在するが、輸入車を含めアフターマーケット品を装着してくれるなと言わんばかりのモデルも少なくないのが現状だ。

確かに最近では新車を購入しても純正オプション品のナビやオーディオをチョイスするユーザーが大多数。アフターマーケットの市場も縮小化しているとはいえ、他にも理由があるのではないか。

そこで国産メーカーとしてはいち早くインテグレーテッド(一体型)オーディオを導入したマツダにお話を伺ってみた。

記事に関わった人々

  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。

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