台風直撃か 鈴鹿F1の内容が大幅変更 レース中止、どう決める? 明確な基準は

公開 : 2019.10.11 11:40  更新 : 2021.10.09 23:53

鈴鹿サーキットのF1グランプリ開催について協議中。台風19号の接近が理由です。開催の決定に明確な判断はあるか? キーワードは「お客様第一主義」。伝説の「雨の日本F1」回顧とともに桃田健史が探ります。

鈴鹿F1、台風列島直撃で対応に苦慮

text:Kenji Momota(桃田健史)

台風19号が鈴鹿F1GPを直撃しそうだ。

開催地である鈴鹿サーキットは10月10日、「台風19号の接近に伴い、FIA、フォーミュラ1およびJAFと風雨による影響を協議しております」という発表した。

ことしのドイツGPも雨天のタイミングがあった。
ことしのドイツGPも雨天のタイミングがあった。

11日(土)はゲートオープンするものの、F1の走行を最優先するため併催するFIA-F4鈴鹿スペシャルステージはすべての走行を中止。

また、佐藤琢磨&中島一貴トークショーなどのイベントも実施時間を変更するなど、開催内容の大幅な変更を余儀なくされている。

気象庁によると、台風19号は10月11日朝6時現在、小笠原諸島の父島付近にあり北北西に進んでいる。予想ルートでは、12日(土)夕方から夜に東海から関東地方に接近、または上陸する恐れがある。

今年最大級といわれるほどの勢力を保っており、多いところで24時間の雨量が600-800mmに達するとしている。

そのため、鈴鹿F1GPは10月13日(日)決勝を控えて、さらなるスケジュール変更が行わることになる。

日本のモータースポーツファンにとっては年に一度、待ちに待ったイベントであり、無事に開催されることを祈りたいところだ。

こうした天候によるレース中止、延期、または開催内容の変更はどのような判断基準で行われているのだろうか?

F1開催 最重要は「観客の安全と利便性」

レース開催について、最も重要なことは「お客様第一主義」である。

路面状況やタイヤ性能、また選手にとって走行中の視界確保など、テクニカル要因はもちろん大事。そのうえで、お客様が最優先だ。

2019年オーストラリアGP
2019年オーストラリアGP

F1、スーパーGT、WRC、ルマン24時間、インディ500など、各分野でのトップカテゴリーは、プロ選手とプロチームが真剣勝負をする様を興行化した、エンターテインメントである。観客、またはテレビやネット視聴者のおかげで成り立っているプロスポーツである。

そのため、気象状況や社会情勢による、レース観戦するために現場での安全性の確保、または観客が会場にアクセスするための利便性、といった要因について主催者と開催者は熟慮する。

レースの中止や開催延期などについては、国や地域などが災害に対する危険度が極めて高いなどの緊急対応を求める行政的な指導や勧告がない限り、それぞれの主催者や開催者が独自に判断することになる。

競技団体の一部では、開催要項に関して具体的な規定を盛り込んでいる場合もある。

こうしたなか、主催者や開催者の想定を超えた状況が発生するケースもある。

例えば、2007年9月の富士F1では、雨の影響で富士スピードウェイまでのシャトルバスが大渋滞に巻き込まれるなど観客の利便性が損なわれたとして、観客らが主催者側を提訴。

東京地方裁判所はチケット代の返還と慰謝料などの支払いを命じる判決が下した。

時計の針をさらに戻すと、伝説の「雨の日本F1」を思い出す。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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