マツダ・ロードスター 45台のコレクション 伊のコレクターを訪問 前編

公開 : 2019.11.23 07:50  更新 : 2021.12.09 23:14

中には435psのV8エンジン搭載車も

その中から、1993年に初めてマツダ・スピードが手を施したクルマのカバーを外してもらった。「エンジンはスーパーチャージャーで武装されています。ボディキットはドイツのノープロ社のもの。日本版DTMのようなレースで、戦っていたクルマと同じ仕様です」

別のカバーを外すと現れたのは、500台限定の、モンテゴブルーに塗られた綺麗なRSリミテッド。「右ハンドルです。このRSが運転する楽しさではベスト。ビルシュタイン製のサスペンションにトルセンLSDを装備しています。15インチのBBSアルミは、初代で最も決まるホイールですよね」 と話すマンチーニ。

イタリアのミアータランド
イタリアのミアータランド

さらに珍しいクルマが奥に控えている。別のカバーに覆われていたのは、「ピット・クルーMX-5」と呼ばれるものだった。リトラクタブル・ヘッドライトではなく固定式の丸い目が2灯付いた、風変わりなフロントエンドが特徴的。「ボルボP1800のように見えると思いませんか」 マンチーニは満足げだ。

筆者の目がガレージの暗闇に慣れてくると、整列するクルマのボディ形状が良くわかってくる。ボンネットに無数の排熱ルーバーが切られ、大きく膨らんだフェンダーにサーキット用タイヤを履いたクルマもある。「これはコレクションの中で最もパワフルなロードスター。メガ・モンスターですね」

「1.8Lの4気筒エンジンのかわりに、シェルビー・マスタング用の5.0L V8スーパーチャージャー・エンジンが載っています。馬力は435psくらい。ウェットだけでなくドライでも楽しいですよ。セミスリックタイヤを履いていますが、3速でもフルスロットルを与えれば、タイヤはギュルルルル・・です」

300台、日本限定の希少なM2 1001

手でカウターステアを当てる仕草をしながら、「信じられないパワーです。換装に掛かった費用は5万ドル(540万円)ほどでした」 沢山の中からマンチーニは、今日の取材でお気に入りの3台を田舎道で走らせることを提案してくれた。だが、初代から3代目までそれぞれ1台ずつが良いと相談すると、すぐに今回のトリオが決まった。

極めて希少な初代NA型ロードスターのM2 1001と、2代目NB型からは駿馬のマツダスピード。3代目NC型からは、オープンレース仕様のクルマで繰り出すことにした。

NA型 マツダ・ロードスターM2 1001
NA型 マツダ・ロードスターM2 1001

かなりのエンスージァストでも、M2 1001は初めて聞くかもしれない。日本以外の地にあること自体が珍しい。欧州に存在するのは数台ほど思われ、その大部分はマンチーニが買い集めている。1992年に300台限定で発売された内の、イニシャルナンバー49と62を保有。後に追加されたM2 1002もコレクションにある。

初代マツダ・ロードスター(MX-5)でも、極め付きの1台ともいえるのがM2 1001。マツダの特別企画車両を開発していた子会社、M2社が手掛けた初めてのクルマだ。一部の特別仕様車と異なり、2週間に1台ほどのペースで作られ、ボディカラーだけではない多くの変更を受けている。

ベースとなったのは1.6Lエンジンモデル。「M2 1001は完全に別物です。1.6Lエンジンはチューニングを受けて115psから132psになっています。背もたれが固定式のシートは、たった4.2kg。標準モデルの2倍の価格が付いていましたが、300台限定に584件の申し込み金が寄せられたそうです」

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