ダイハツ、「普通車」投入の勝算は 穴場の小型国産SUV ロッキーの新しい使命

公開 : 2019.12.01 12:10  更新 : 2021.10.22 10:17

日本国内で売られるクルマの約60%は小さなクルマです。軽に定評があるダイハツが、あえて小型普通車のSUVを投入する狙いを探ります。似ているようで似ていないスズキとの違い、ロッキーの使命も考察。

ありそうでない5ナンバーコンパクトSUV

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

今の小型/普通車には、海外向けに開発された3ナンバー車が増えたが、新車として売られるクルマの37%前後は軽自動車だ。

小型/普通車でも、販売ランキングの上位に入るのは5ナンバー車が中心になる。日産ノートホンダフィットのようなコンパクトカーの販売比率が25%前後に達するためだ。

ダイハツ・ロッキー
ダイハツ・ロッキー

つまり国内で売られるクルマの約60%は、ボディの小さな軽自動車とコンパクトカーになる。

その一方で、2000年以降はSUVの販売比率も高まった。今はミニバンに迫る勢いで、新車として売られるクルマの15%近くに達する。コンパクトカーとSUVが、小型/普通車の注目カテゴリーになった。

そうなると5ナンバーサイズに収まるコンパクトSUVが豊富に用意されそうだが、意外に売れ筋車種が少ない。

軽自動車を除くと、全長が4m以下に収まる5ナンバーサイズのSUVは、スズキ・クロスビーとジムニー・シエラだけだ。

ホンダ・ヴェゼルトヨタC-HRマツダCX-3、CX-30、日産ジュークなどもコンパクトSUVに入るが、全長は4mを超えて全幅のワイドな3ナンバー車になる。

売れ筋価格帯も、2WDのノーマルエンジン搭載車が220〜250万円だから、フィットのようなコンパクトカーに比べて50〜60万円高い。

買い得感の伴うコンパクトSUVは車種数が限られる。

ロッキー/ライズ登場 戦力図変わる?

その意味で注目されるのが、2019年11月に発売されたコンパクトSUVのダイハツ・ロッキーとトヨタ・ライズだ。ダイハツが開発と生産を行い、トヨタにOEM車として供給される。

直列3気筒1Lターボエンジンを搭載して、全長は3995mm、全幅は1695mmの5ナンバー車だ。フィットやアクアなどと同等の大きさになる。

ロッキー/ライズは、オフロードの走破性を追わない代わりに、荷室容量などの日常使いで有益。
ロッキー/ライズは、オフロードの走破性を追わない代わりに、荷室容量などの日常使いで有益。

ロッキーとライズのサイズは、かつて販売されていたダイハツ・ビーゴとトヨタ・ラッシュに近いが、これはエンジンを縦置きに搭載してフルタイム4WDも採用していた。ランドクルーザーのような後輪駆動ベースのオフロードSUVで、悪路走破力が高い代わりに後席と荷室は狭かった。

新しいロッキーとライズは、タントと同様、DNGAの考え方に基づく前輪駆動のプラットフォームを使う。後席と荷室も広く、低重心になって車両重量はビーゴ&ラッシュに比べると約150kg軽い。動力性能、走行安定性、燃費でも有利になっている。

そしてロッキーの価格は、16インチアルミホイールやエアコンのオート機能を備えたXが184万8000円。全車速追従型クルーズコントロールなどを装着して、アルミホイールも17インチに拡大されるGは200万2000円だ(いずれも2WD)。

ロッキーは最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)に185mmの余裕を持たせたこともあり、推奨グレードは4WDのGで価格は222万4200円だが、ヴェゼルなどに比べると装備の違いを考えても20万円ほど安い。

また1.2-1.3Lエンジンを搭載するフィットのようなコンパクトカーと比べた時の価格上昇も20万円前後だ。

1Lターボが1.5Lノーマルエンジンに匹敵する動力性能を発揮することも考えると、ロッキーは価格を割安に抑えた。

果たしてロッキーはどのくらい売れるのか?

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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