【WRC前提の3ドア】トヨタGRヤリス・プロトタイプ 新開発1.6L 3気筒ターボ 前編

公開 : 2019.12.28 10:50  更新 : 2021.03.05 18:46

ヤリスの姿をした4輪駆動のラリーマシン、トヨタGRヤリスが2020年末に登場する見込みです。AUTOCARでは一足先に、ポルトガルのサーキットでプロトタイプの試乗を許されました。

もくじ

トヨタ単独で生んだハイパフォーマンス・モデル
ラリーチームが要求したスタイリング
指一本で曲がるほど薄いバンパー

トヨタ単独で生んだハイパフォーマンス・モデル

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
トヨタGRヤリスとは何か。思いがけないトヨタからの贈り物になりそうだ。

名前はヤリスだし、見た目もヤリスに見えるが、中身はまったく異なる。次期世界ラリー選手権へ出場するトヨタのラリーマシンだと想像できるかもしれないが、少量生産のホモロゲーション・スペシャルとも異なる。

トヨタGRヤリス・プロトタイプ
トヨタGRヤリス・プロトタイプ

ボディサイズはフォードフィエスタに近い。その内側は、一回り大きいホンダ・シビック・タイプR寄り。ヤリスGRMNの後継モデルにも思えるものの、生産台数は数万台規模らしい。

大きく膨らんだリアフェンダーなど派手なスタイリングをまとうが、基本コンセプトは「レス・イズ・モア(より少ない方がより良い)」。 徹底的な軽量化と高効率化にフォーカスされている。

トヨタGRヤリスは軽量な4輪駆動のホットハッチで、舗装路やサーキット、ラリーステージで速く走れることを目指している。開発コードはGR-4。2019年の世界ラリー選手権の最終ラウンド、ラリー・オーストラリアで発表される予定だったが、大規模な自然火災によりラリー自体も中止となっていた。

しかしこのGR-4は大きな意味を持つ存在だといえる。トヨタ社内で約20年ぶりに開発された、本物のハイパフォーマンス・モデルとなるのだ。GT86はスバルとの協働だったし、GRスープラはBMWとの協働だった。

トヨタ直轄のパフォーマンス部門、ガズーレーシング(GAZOO Racing)が、トヨタ・モータースポーツとトミ・マキネン・レーシングと手を組んで生まれた。ちなみにトミ・マキネン・レーシングは、トヨタが世界ラリー選手権でコラボレーションするパートナーでもある。

ラリーチームが要求したスタイリング

トヨタが高性能マシンの開発をするに当たって、効率性にもフォーカスたところが重要なポイント。GRヤリスの開発をリードしたのは、自ら「クレイジーなエンジニア」 だとする齋藤尚彦。トヨタがGRヤリスの開発を認めたことが信じがたい。

「夢は叶うものです」 と齋藤は熱く目を見開いて話す。

トヨタGRヤリス・プロトタイプ
トヨタGRヤリス・プロトタイプ

齋藤が率いるチームへ3年前に与えられた課題は、新しいヤリスのイメージを牽引できる高性能なラリーマシンを開発し、2021年のヤリスWRCのホモロゲーション取得につなげること。

この要求は、目前にあるGRヤリス・プロトタイプを見れば理解できる。ボディはプロテインを大量摂取して筋肉質になっているが、ヤリスだ。実際、近日発売予定のヤリスとの共通点も少なくない。

基本骨格は同じプラットフォームで、ホイールベース長も共有している。だがボディパネルは基本的に新しく、違いは一目瞭然。通常のヤリスは5ドアのみだが、GRヤリスは3ドア。ルーフラインは低く、大きなウイングとルーバーが備わる。リアフェンダーは大きく膨らみ、タイヤもかなり幅広。

これらのデザインは次期ラリーマシンのヤリスWRCと一致する必要がある。規定で、ボディ形状は量産車に準じなければいけないと決まっているのだ。

ラリーチームは、クルマの空力特性や車重、剛性など、多くの難しい要求を開発チームへと要求した。斎藤のチームはこれらの要求を盛り込んだ設計をした上で、トヨタからの承認も得る必要があった。トヨタが量産車メーカーであることを考えれば、一筋縄ではいかなかったことは想像に難くない。

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