【もうすぐ日本初公開】 新型コルベット、なぜミドシップになったのか? 真のライバルとは

公開 : 2019.12.28 11:50  更新 : 2021.10.09 23:53

東京オートサロン2020にて、新型コルベットが日本初公開。特徴は、なんといっても、エンジンがリアミドシップ化されたこと。なぜ伝統を捨てたのか? 真のライバルはどのクルマか? 桃田健史が考察します。

待望の日本向け右ハンドル車も登場

text:Kenji Momota(桃田健史)

東京オートサロン2020(2020年1月10日~12日:千葉県幕張メッセ)に、新型コルベットが日本初公開となることが決まった。

ゼネラルモーターズ(GM)ジャパンとして、同イベントには初出展となる。2019年7月にアメリカで世界初公開された後、アメリカ国外での正式発表は日本が最初となる。

新型コルベット
新型コルベット

新型コルベットの特徴は、なんといっても、エンジンがリアミドシップ化されたことだ。

コルベットといえば、大排気量エンジンを搭載するロングノーズのFR(フロントエンジン・リア駆動車)の代表格として日本を含めて世界各国に熱烈なファンを持つアメリカンスポーツカーである。

FRはコルベットのアイコンであり、永遠に不滅である。そう信じてきた人々が世界中に大勢いたはずだ。

そうしたコルベットの常識を根底から覆す、今回のミドシップ化。

なぜ、このタイミングでの商品企画大転換なのか?

ミドシップ化によって、これまでのコルベットからのファン離れは起こらないのだろうか?

GMの大英断の裏には、スポーツカー市場を取り巻く大きな時代変化の波がある。

コルベットは時代の最先端にいるべき

2019年7月、GMのマーク・ロイス社長は新型コルベットの記者発表で「コルベット伝統のFRとしては、パフォーマンスは限界に達した」、「コルベットはいつの時代にも、革新と極限の頂点を体現してきた」と述べている。

つまり、FRとしてライバルたちと互角に戦くことが難しくなった、ということである。

FRとしてライバルたちと互角に戦くことが難しくなったことが、新型のミドシップ化に踏み切った理由の1つ。
FRとしてライバルたちと互角に戦くことが難しくなったことが、新型のミドシップ化に踏み切った理由の1つ。

その上で、GMが配布したプレス資料には、ミドシップ化によるメリットが列記されている。重量バランスとして、ストリートやサーキットでの走行性能が一気に上がったといいう、至極当然の説明である。

これを、コルベットユーザーが望んでいるはずである、とGMは見る。

つまり、コルベットという商品の出口戦略は「パフォーマンス」であり、GMが追い求める新たなる「コルベットのパフォーマンス」に対して、ユーザーは理解してくれるものと、GMが確信したのだ。

筆者(桃田健史)は80年代中盤からアメリカ生活を送ってきたが、歴代コルベットについてGM関係者と様々な機会に実車を交えて意見交換してきた。

そうした中で、GM側がいつも口にしたのは、1954年に初代コルベットが誕生した時に開発陣がアメリカンスポーツカーに対して抱いた希望と夢だ。

コルベットはアメ車のなかで別格の存在、という意識がGM内部で受け継がれてきたと思う。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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