【新パワートレイン試乗】M・ベンツEクラス、ディーゼルPHV「E 350 de」 価格/内装/走りを評価

公開 : 2020.01.01 20:55  更新 : 2021.12.28 00:10

メルセデス・ベンツEクラスの「ディーゼル・プラグイン・ハイブリッド」を日本試乗。上質な走りとEQパワーの環境性能。……それが、意外な価格設定なのです。

ディーゼル・プラグイン・ハイブリッド登場

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

個人的には、クルマの未来が電気自動車となるのは間違いないと考えている。と言っても、10年20年程度で電気自動車が一般化するとも思えない。内燃機頼りが当分は続くわけだが、だからこそ内燃機の効率向上も必須。効率限界に向かって開発も留まることを知らない。

そんな来るべき電気自動車の時代と内燃機車最終ステージの“糊代”となるのが「今」である。Eクラスに新たに追加された「E 350 de」は電動/内燃機糊代の時代を象徴するモデルと言っていいだろう。

振動や騒音が抑えられた上質なドライブがE 350 deの特徴。
振動や騒音が抑えられた上質なドライブがE 350 deの特徴。

パワートレインの形式は外部充電可能なパラレル式ハイブリッド、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)と呼ばれるタイプである。

内燃機駆動を基本にするパラレル式ではエンジン/ミッションの性能が重要。「E 350 de」は40.8kg-mの最大トルクを発生する2Lディーゼルと9速ATを組み合わせる。

ちなみにエンジンの基本スペックは「E 220 d」と共通。最高出力を基準にNAガソリン・エンジン相当で名付けているため「220」となっているが、最大トルクならば4L級に匹敵する。なお、ガソリン・エンジンを核に同システムを採用した「E 350 e」も同時発表されている

急速充電 非対応

電動系は90kW(122ps)の駆動/回生用モーターと、13.5kWhの走行用リチウムイオン・バッテリーを採用。

バッテリー容量はプリウスPHVの約1.5倍にもなるが、2t超の車重を考慮するなら余裕とも言い難く、WLTP欧州参考値による満充電時の電動走行距離は50km。

2Lディーゼル・ターボとPHVという構成で、システム統合306ps/44.9kg-mを発生。
2Lディーゼル・ターボとPHVという構成で、システム統合306ps/44.9kg-mを発生。

PHVでは標準的な値であり、「プラグイン」の主目的はハイブリッド車が苦手な暖機稼働などで燃費が落ちやすい短距離用途での効率改善を考えた設定である。

外部充電機構は普通充電のみの対応。無償提供される交流充電器の容量は6.0kWであり、200V/30Aで最長2時間半での充電が完了する計算だ。急速充電に対応していないのはスペック面の気になる部分だが、現実を見据えた設定でもある。

30分以上掛けて50km分を稼ぐのは時間的には非効率。また、急速充電スタンドの利用料金は時間当たり課金が基本。使い放題契約でなければ電気自動車に比べてバッテリー容量の少ないPHVは経済性でも非効率である。

このように効率面で内燃機車をリードするディーゼルに、電気自動車の要素技術を盛り込んだPHVを合体させたのが「E 350 de」なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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