【たった3車種に】教習車モデル、なぜ減少の一途をたどる? 減った免許取得率 MTも

公開 : 2020.01.25 08:50  更新 : 2021.10.13 13:58

誰もが必ずお世話になる教習車。むかしは各自動車メーカーが「教習車仕様」を用意していました。しかし近年はトヨタ/マツダ/ホンダの3メーカーのみに。なぜここまで減ってしまったのか。小鮒康一が調べました。

教習車に使うための車種が減っている

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

自動車の運転免許を取得する際に誰もが必ずお世話になる教習車。

教習所ではもちろん、試験場で一発取得を目指した人でも現地で必ず乗ったはずだ。

「カクカクしたセダン」のイメージが強いトヨタ・クラウン・コンフォート教習車。写真はガソリンエンジン仕様/5速マニュアルのスーパーホワイトII。
「カクカクしたセダン」のイメージが強いトヨタクラウン・コンフォート教習車。写真はガソリンエンジン仕様/5速マニュアルのスーパーホワイトII。

筆者のようにアラフォー世代のドライバーであれば、教習車と言えば古臭いカクカクしたセダンというイメージがあるのではないだろうか?

確かに運転に不慣れな教習生からしてみれば見切りのよい角ばったセダンは運転もしやすく、基本的な運転方法を学ぶにはもってこいと言えた。

しかし、最近では角ばったセダンはすでに絶滅し、空力を重視した流線形のデザインが一般的となっており、それに伴って教習車のラインナップも変化している。

教習所によっては輸入車をラインナップしたり、SUVタイプの車両を導入したりと、各教習所ごとに特色を打ち出したりもしているが、実は教習車とするためには当然ながら規格が決まっている。

とはいえその基準は厳しいものではなく、「乗車定員5人以上の専ら人を運搬する構造の普通自動車で、長さが4400mm以上、幅が1690mm以上、軸距が2500mm以上、輪距が1300mm以上のもの」となっているだけ。

そのため、一般的なセダンからハイブリッドカー、SUVまでOKで、なかには時代の流れを鑑みてミニバンタイプの車両を導入しているところもあるほどなのだ。

実は各メーカーに「教習車仕様」があった

教習車として使うことができる条件については前述した通りであるが、それ以外に教習車として使用するにあたって必要な装備を取り付けることが求められる。その代表格と言えるのが、助手席に座る教官用に用意される「補助ブレーキ」というものだろう。

運転に不慣れな教習生が危険な目に会わないように、万が一のときのために教官が助手席側からもブレーキをかけることができるというものだが、当然これは追加で装着しなければならないもの。

教習車専用の装備を追加していくと、コストはもちろん時間もかかってしまう。
教習車専用の装備を追加していくと、コストはもちろん時間もかかってしまう。

こういった教習車専用の装備を追加していくと、コストはもちろん時間もかかってしまうため、実は自動車メーカーは「教習車仕様」という、そういった必要装備をあらかじめ装備した車両を用意している。

以前は大手国産車メーカーだけではなく、輸入車であるメルセデスベンツ190クラスや、サーブ900シリーズにも教習車仕様が設定されていたことがあり、ある意味まとまった台数を受注することができる大切な顧客のひとつだったのである。

しかし、2020年現在で教習車用に車両をリリースしているメーカーはトヨタ、マツダホンダの3メーカーのみ。過去に教習車仕様を設定していた日産スバルはすでに撤退してしまっているのだ。果たしてこれにはどういった理由があるのだろうか?

記事に関わった人々

  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。

おすすめ記事