【なぜこのタイミング?】ハマー、1000psのEVとして復活する背景 考えられる2つのワケ

公開 : 2020.02.02 11:30  更新 : 2021.10.09 23:54

「静かなる革命、来る」。1月末、GMCのホームページに意味深なタイトルが出ました。ハマーが、1000psのEVとして復活するようです。テスラ/フォード、そして「ハマー」。なぜこのタイミングなのか考えます。

ハマーがいきなりの復活 しかもEVで

text:Kenji Momota(桃田健史)

「クワイエット・エボルーション・イズ・カミング」。直訳すれば、「静かなる革命、来る」

1月末、GMCのホームページに意味深なタイトル表示が出た。

GMCは、米ゼネラルモーターズ(GM)のブランドの1つ。フルサイズSUVのユーコンは日本でも根強い人気がある。

驚きなのは、GMCのホームベージなのに、「ハマー」という表記であり、さらに最高出力1000psのEV(電気自動車)だというのだ。

ハマーといえば、軍用車HMMWV(ハンヴィー)を製造していたAMゼネラルが1990年代、民生車としてH1の生産を始めた。

2000年代にはGMがハマーを自社ブランド化し、フルサイズSUVのシボレータホ/サバーバンをベースとしたH2を手がけると、日本を含めて爆発的な大ヒット作となった。2匹目のどじょうを狙い、ミドルサイズ・ピックアップトラックのシボレーコロラドをベースとしてH3を市場導入した。

だが、2008年にアメリカで、不動産を中心とした大規模な債務不履行による、いわゆるリーマンショックが起こり、アメリカでの自動車販売全体が大きく落ち込んだ。

影響を受けたGMは事業再生法を申請し、事実上の倒産。事業再生に伴い、GMはブランドの絞り込みを行い、シボレー/キャデラック/ビュイック/GMCの4ブランド体制とし、ポンティアック/オールズモービル/サターン/ハマーを廃止した。

そのハマーを、GMがEVで復活させるというのだが、なぜこのタイミングなのか?

アメリカはEVブームなのか?

ハマーがEV(電気自動車)で復活。

その理由は、アメリカでEVがブームだから、なのだろうか?

1月末、GMCのホームページに意味深なタイトル表示が出た。ハマーのEVとしての復活を示唆する。
1月末、GMCのホームページに意味深なタイトル表示が出た。ハマーのEVとしての復活を示唆する。

答えは、ノーであり、イエスでもある。

トヨタなどがまとめた直近データによると、2018年の世界EV販売総数は1210万台。そのうち6割近くの約71万台が中国、ついでアメリカが約23万台で、ノルウェー、ドイツ、フランス、日本と続く。

アメリカの23万台という数字、アメリカ自動車マーケット全体でみれば、1%ちょっとに過ぎない小さな市場だ。

中国とアメリカでEV販売量が多い理由は、中国では国策として、アメリカではカリフォルニア州などの州政府の政策として、自動車メーカーにEVなどの電動車の販売台数を義務化しているからだ。

中国では、2019年からEV販売義務化が本格化したため、中国地場メーカーはもとより、日系/欧州系/アメリカ系/韓国系の各メーカーがEV量産を強化したため、EVブームとなっている。

一方のアメリカでは最近、EV販売台数義務化が強化されるような動きはない。そのため、市場から見てEVブームにはなっていない。

ところが……。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

おすすめ記事

 

自動車ニュースの人気画像