【ID.3 Rへ向けた第一歩】VWゴルフeR1 エレクトリック・プロト 500ps+4輪駆動

公開 : 2020.02.07 10:20

推定500psが生み出す激しい加速

ID. Rに用いられていたツインモーターは680psを発生させていたが、ゴルフeR1はそれほどパワフルではなく、500psに近いのではないかと推測される。フロント側のモーターだけを動かし、前輪駆動のクルマとしても走行が可能だ。

いくつものコースレコードを樹立したID. Rを、見るだけなら楽しいだけで済む。しかし、それに乗るとなれば話は少し違う。ツインモーターが生み出す鋭い加速に身構えたが、期待通りだった。

フォルクスワーゲン・ゴルフeR1 エレクトリック・プロトタイプ
フォルクスワーゲン・ゴルフeR1 エレクトリック・プロトタイプ

ヒルクライム・レースに出場したマシンと比べればパワーは穏やかだが、ゴルフ・サイズのクルマには充分以上に強力。電気モーターが生み出す即時的な大トルクによって4輪が回転を始めれば、すぐさまゴルフeR1は激しくダッシュを始める。

アイス・レース用サーキットということで路面は氷なのだが、スパイクタイヤのおかげでホイールスピンは思ったほどではない。シャシーの設定はアイス・レースではなく、舗装されたサーキットでのレース用らしい。

車高は低く、少し走りにくそうだった。走行する度に、フロントスポイラーがかき上げてエアスクープに吸い込まれた、大量の雪を取り除く必要があった。

我々がテスト走行をする傍らでは、量産版のポルシェタイカンも、同様に助手席試乗会を行っている。ゴルフeR1をドライブするのは、ゴルフTCRを駆って世界ツーリングカー・カップに参戦するベニー・ロイヒター。ゴルフeR1はストレートでタイカンを追い越すことができた、と興奮しながら話していた。

意外と大きいツインモーターが発する音

加速力以外は、時間が短すぎ、クルマの多くの結論を導き出すのは難しい。しかもツェル・アム・ゼーに用意されたアイス・サーキットは基本的には大きな3角形。3本の直線が3つのタイトコーナーでつながれているだけで、ハンドリングやダイナミクス性能の手がかりを得ることは困難だ。

少なくともゴルフeR1は、いまの一般的な考えとは異なり、EVでも静かなだけで終わらないことを証明してくれた。車内で聞こえるツインモーターが発する独特の鳴き声は、驚くほど大きい。ベニー・ロイヒターがアクセルペダルをどれだけ踏み込んでいるのか、音を通じて即座に理解できる。

フォルクスワーゲン・ゴルフeR1 エレクトリック・プロトタイプ
フォルクスワーゲン・ゴルフeR1 エレクトリック・プロトタイプ

だとしても、レースカーとしては充分に静かではある。タイヤが跳ね上げた氷や路面の雪のコブが、勢いよくゴルフeR1のシャシー下面に当たる音も、しっかり聞こえてくる。

では、このゴルフeR1は、将来のフォルクスワーゲン製EVにどんな意味を持つのか。最もわかりやすい表現は、フォルクスワーゲンの高性能EVのビジョンを伝える、大使的なクルマだということだろう。ボディの見た目がビジョンと一致しないかもしれないが。

フォルクスワーゲンによれば、同社のすべての純EVモデルは今後ID.ブランドに属するとしている。一方でゴルフは、内燃エンジンとハイブリッドモデルとして残されるからだ。

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