【2年で仕上げた期待の星】ボクソール(オペル)・コルサ1.2に試乗 PSA下で再設計

公開 : 2020.02.13 10:20

オペルらしいスポーティな味付け

先に試乗している1.2LエンジンのSRiの場合、速度に応じたステアリング・アシストの設定に変更を受けている。このクルマはトップグレードとなり、8速ATが組み合わされるが、英国には入ってこないようだ。

だが、これまで以上に筆者は気に入った。エンジンルームにはブレースバーが追加され、スポーツモードでは排気音とステアリングの重みが人工的にだが強化される。導入を願いたいところ。

ボクソール(オペル)・コルサ1.2 エリート(欧州仕様)
ボクソール(オペル)・コルサ1.2 エリート(欧州仕様)

今回試乗するのは、100psを発生する1.2Lターボ・ガソリンエンジン版。英国ではベストセラーとなるとボクソールは読んでいる。自然吸気の75psと1.5Lターボディーゼルの102ps版も導入予定。

トランスミッションはどのエンジンにも、6速マニュアルか8速ATが選べる。いずれもグループPSAのもので、燃費も先代から大幅に向上しているという。

1.2Lターボエンジンは、レスポンスに優れ好印象。1750rpmから20.8kg-mという太いトルクを発生させ、ダウンサイジング3気筒らしく元気にコルサを引っ張る。

オペルとしてスポーティさを持たせるためか、排気音も含めて、サウンドはプジョー208より大きめ。MTの場合、トランスミッションからのメカノイズも大きめに響く。

走行時の上質感は、改善の余地がないわけではないが、クラスとしては悪くないレベル。それはインテリアでも同じ。安価なプラスティック部品が目立つし、ヘッドレストの遊びなど、気になる点がチラホラ。だが、走りが楽しいから許容範囲だ。

正確で応答性の良いステアリング

モニター式となるデジタルメーターは標準装備だが、どこか後付け感もある。シフトノブも質感は悪くないがプラスティック感が強く、疑問が残る。

そのかわり、ドライビングポジションは良好。30mmほど低められた着座位置と、ステアリングホイールの幅広い調整域が与えられている。

ボクソール(オペル)・コルサ1.2 エリート(欧州仕様)
ボクソール(オペル)・コルサ1.2 エリート(欧州仕様)

PSA譲りのタッチモニター式インフォテインメント・システムを採用するが、わかりやすくグループ化された、物理的なスイッチ類が残されている点も良い。車内へ馴染むのに時間がかからないという点は、一般的なコルサ・ユーザーに取ってありがたいポイントだろう。

PSAの傘下に入ったことで、オペルのエンジニアはある程度の制限を受けたことは間違いない。しかし、コルサにオペルらしいダイナミクス特性を与えるチャンスは、充分に残されていたようだ。

全体的に操縦性は少し軽すぎ、ドライビングを自然に楽しむには、少しの慣れが必要ではある。コンパクトカーとしては珍しくないが、ステアリングホイールへ伝わるフィーリングも少ない。

郊外の開けた道ではなく、都市部での走行が前提の設計なことは明らか。当然のことではある。それでも嬉しいことに、新しいコルサはずっと良くなった。

ステアリングは正確性が高く、速度に応じた反応も明快。プジョー208に見られる少し神経質なところもまったくない。ボディロールは小さく抑え込まれている。

スタビリティの高さは、アウディA1スポーツバックに近いほど。優れたグリップ力で、フラットなコーナリングを味わえるが、それ以上の自由度で楽しめるわけでもない。

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