ロードテスト BMW M8 ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2020.02.15 19:50  更新 : 2020.02.21 21:21

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

もし、このM8コンペティションの走りが2ドアオープンにしたM5のようなものだと思っているなら、その違いに驚かされるだろう。それは強烈なペースよりも、乗り味やハンドリングによるものだ。

M5もセダンとしてはかなり乗り心地が硬く俊敏なフィーリングだが、M8はそれより間違いなく低く、ややワイドで、多少ながらもよりスプリングがハードな印象だ。

セダンとしてはかなり乗り心地が硬かったM5と比較しても、よりスプリングがハードでステアリングもダイレクトだ。
セダンとしてはかなり乗り心地が硬かったM5と比較しても、よりスプリングがハードでステアリングもダイレクトだ。    OLGUN KORDAL

ステアリングもややダイレクト。切りはじめのレスポンスも、このサイズのクルマではあまりないくらい鋭い。

よりコンフォート寄りのモードでは、その驚くほど曲がりたがる性質は角が落とされ、馴染みある程度になる。そのため、時を経ればどうにかして、ラウンドアバウトやジャンクションを走るのにも慣れることができるだろう。

それでもこのM8は、大型GTにおけるナチュラルで直観的なハンドリングの限界を引き上げたといえる。

そのため、路上で思い通りの位置を正確に通せるようになるまでは少々時間を要する。飛ばしながらこのクルマのハンドリングを探るに足る自信も、すぐに得ることはできない。

ステアリングにはわずかながら弾力性があり、コーナリングで負荷が高まるのを期待するほどクリアに伝えてはくれない。また、プロセスを早めてもくれない。

それでも、ハンドリングスタビリティと運動性の落ち着きぶりは十分すぎるほど。それに気づけるくらいのゆとりができれば、よくわかるはずだ。

M5と同じく、xドライブには4WD/4WDスポーツ/2WDの各モードが設定されている。その順番で、スロットルオンでのコーナリングバランスや後輪駆動的なハンドリングのアジャスタビリティは高まっていく。

ただし、最初の4WDモードでは、ハンドリングマナーはニュートラルで、パワーオンでのアンダーステアには頑ななまでに抗う。

グリップと沈着なハンドリング、切れ味のブレンドは、たしかに有無をいわせぬものがある。ただしそれは、不整路面よりスムースで広い道でこそ納得できる。

舗装が悪いと、大きな突き上げを受け、車重を抑えるのに苦戦することもある。速いGTカーでもとくに優れたものであれば、しなやかでプログレッシブに受け止めるところなのだが。

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