【真冬の採石場でオフロードテスト】スズキ・ジムニー・シエラ(4) 長期テスト

公開 : 2020.03.01 11:50

気取らない小さな4WDは、短距離でも走りたくなる愛らしさ。この気持は長期間変わらないのでしょうか。最新のジムニーは、先代モデルに並ぶ実力と魅力を備えているのか、長期テストで確認します。

積算1万8225km 都市部での取り扱いの良さ

text:Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
出かけた先の立体駐車場で、たまたま先代ジムニー・シエラの隣に停める機会があった。長期に渡ってコンパクトなプロポーションを保ってきたジムニー。新型になって、一回り大きく、ボクシーなデザインを得たことに改めて気付かされた。

先代のジムニー・シエラにもレトロ・クールな雰囲気はある。だが新型の方が、デザインはカッコいいと思う。

スズキ・ジムニー(シエラ)1.5 SZ5 オールグリップ(英国仕様)
スズキ・ジムニー(シエラ)1.5 SZ5 オールグリップ(英国仕様)

積算1万8800km レンジャー・ラプターと悪路テスト

これまで都市部や郊外で、運転しやすく快適な相棒として走ってきたジムニー・シエラ。だが、本来のジムニーの強みでもある、本格的なオフロード走行を試していなかった。

以前からジムニーやジムニー・シエラは、軽量なボディと4輪駆動による走破性の高さを自慢としてきた。長期テスト車のジムニー・シエラの場合、車重は約1135kg。ちなみに、新しいランドローバーディフェンダー90の車重は2300kgもある。

スズキ・ジムニー(シエラ)1.5 SZ5 オールグリップ(英国仕様)
スズキ・ジムニー(シエラ)1.5 SZ5 オールグリップ(英国仕様)

今のところ、筆者がジムニー・シエラで走行したオフロードといえば、泥だらけの草地を横切った程度。そこで仕事が落ち着いている1月の月曜日、リンカンシャーのティックオーバー採石場に向かった。ジムニーが期待通りのクルマかどうかを確認しに。

一緒にテストしたのは、フォード・レンジャー・ラプター。この2台でオフロード走行のビデオ撮影も行っている。英国サイトには掲載する予定だから、あわせてご覧いただければと思う。

シンプルなジムニーの驚くほどの走破性

さて、フォード・レンジャー・ラプターの隣に停まったジムニー・シエラは、小人のように小さい。レンジャー・ラプターのボディサイズに、2台のジムニー・シエラが収まりそうにすら思える。

フォード・レンジャー・ラプターも、優れたオフロード走行を前提に生まれたクルマ。こちらはオンロードも得意科目だ。幅広いオフロード・モードを備え、ロッキングデフも装備する。

スズキ・ジムニー(シエラ)1.5 SZ5 オールグリップ(英国仕様)
スズキ・ジムニー(シエラ)1.5 SZ5 オールグリップ(英国仕様)

一方のジムニー・シエラは、シンプル。ロッキングデフもオフロード・ドライブモードもない。ローギアとハイギアが選べる4輪駆動に、ラダーフレーム・シャシー、リジットアクスルが付いているだけ。ブレーキ制御によるトルクベクタリングが付いているのが、目新しいところ。

壮観な採石場を走り始めると、特定の場面でジムニーよりもラプターの方が優れていることは明らかだった。大きな水たまりだ。

ラプターが対応できる水深は最大で850mm。小柄なジムニーは320mmに留まる。ラプターの方がトルクも太く、10速ATもあるから、失速する可能性は遥かに低い。

ではジムニー・シエラはどこまで頑張れたのか。相当に応えてくれた。オフロード走行に慣れている英国編集部のマット・プライヤーは、走破性を少し疑っていた。だが、とてもキツイ急斜面をジムニー・シエラは何の問題もなく登りきった。筆者も驚き、興奮してしまった。

急斜面の1つでは、ヒルディセント、斜面を下ることにも挑戦した。クルマへの信頼感が大切だ。ブレーキペダルに添える足は緊張したが、ジムニーはここでも一切の助けを必要としなかった。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

スズキ ジムニーの人気画像