【本質を味わうには覚悟も必要】ポルシェ911カレラS 最終回 長期テスト

公開 : 2020.03.08 11:50

ポルシェ911は、普段使いもできるスポーツカーの最高峰に君臨してきましたが、991型でも同様なのでしょうか? 長期テストとして導入してきましたが、992型の登場に合わせて今回が最終回。これまでを総括します。

積算1万5019km 見にくいスピードメーター

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ポルシェのオーナーの中に、メーターの並び順の良し悪しを考えた人はいるだろうか。スピードメーターは片側に寄せられ、やや判読しにくい。しかも大きなレブカウンターの中にはデジタルのスピードメーターが付いているから、ほとんど不必要といってもいい。

これまで1万km近く一緒に走ってきたが、有用だと感じたことはまだない。

ポルシェ911カレラS(991型・英国仕様)
ポルシェ911カレラS(991型・英国仕様)

積算1万6465km 変化するポルシェにとっての911

自動車業界の激動の時代に生きていることを実感したければ、ポルシェ911を見ればいい。何十年にも渡って、911はポルシェの主力選手だった。しかし2017年のデータでは、911はポルシェ総売上の13%を占めるに過ぎないモデルになってしまった。

911にはクーペだけでなく、コンバーチブルやタルガも存在し、MTかPDKも選べるし、後輪駆動か4輪駆動かも選べる。さらにモータースポーツ直系の仕様やGT3だって用意されている。一方で、ポルシェ・マカンのボディスタイルは1つしかないのに、911の3倍も売れている。

ポルシェ911カレラS(991型・英国仕様)
ポルシェ911カレラS(991型・英国仕様)

ポルシェは年間24万6000台ものクルマを顧客へと届けている。世界中、ほとんどすべての価格帯で、属するモデルの一番人気はSUVだ。

旧型となってしまったが、991型の911で確かめたかったことは、正常進化しているかどうかだけではない。スーパーカーに近いダイナミズムと、普段遣いできる利便性とを今も両立できているかどうかだった。

普段使いが得意過ぎるスポーツカー

55年前にフランクフルト・モーターショーで発表された901が灯した輝きは、今も色あせてないだろうか。新世代が登場した中で、これまでの長期テストを振り返ってみたい。

991型のポルシェ911も、想像通りの911だった。得られるものは優れていたが、驚きの要素は少なくなっていた。以前長期テストで乗っていたBMW i8並みの発見はなかった。

ポルシェ911カレラS(991型・英国仕様)
ポルシェ911カレラS(991型・英国仕様)

グラファイト・ブルーのカレラSクーペは、乗る前からどんなクルマか想像がついた。乗ってみてしばらくの間、価格並みの特別さが得られるのか、疑問も抱いてしまった。このポルシェには非常に多くのオプションが選択され、価格は10万ポンド(1430万円)を超えていた。

高い馬力を備えていても、慣らし走行中は真価を発揮できなかったこともあり、最初に掴めたのは運転が簡単だということくらい。BMW i8より本質的に品質が高いとは思ったが、それ以上のことは感じなかった。

もっとも、馬力が控えめなポルシェ911は、だいたいこんな印象だと思う。911という数字の並びからは、純粋な運転する喜びを想起させる力がある。だが、日常使いを余りに自然にこなせるから、本来の素晴らしい能力を忘れてしまう側面がある。

シザーズ・ドアやカーボン製のタブシャシー、プラグイン・ハイブリッドを備えるi8は、時には音も立てずに走った。わかりやすい特徴だ。

一方でポルシェ911を観察すれば、クラス随一のステアリングに機能的なインテリア、力強くスムーズなエンジンなど、完成度が見えてくる。i8ほど明白ではなくても、劣らない説得力がある。

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