【ライバルに勝る楽しい走り】新型 フォード・クーガ PHEV STラインへ試乗

公開 : 2020.03.31 10:20  更新 : 2021.07.27 14:54

インテリアのプレミアム感は不足気味

ドライビングモードは、コンフォート、スポーツ、エコに加えて、砂利道などにも対応するスリッパリー(滑りやすい)を設定。ただし、4輪駆動が選べるのは189psの2.0Lターボディーゼルのみとなる。

視覚的にはスマートにまとまったインテリアだが、フォードが目指すプレミアム感は不足気味。多くの素材は触感も悪くないものの、下の方には傷の付きやすい硬質なプラスティックが目立つ。

フォード・クーガ2.5PHEV STライン(英国仕様)
フォード・クーガ2.5PHEV STライン(英国仕様)

高めの運転席からの前方視界は良好。後方は分厚いCピラーが斜め方向の視界を遮り、良いとはいえない。

リアシートは最大で150mmのスライド量を持つ、分割可倒式のベンチシート。荷室容量を増やすか、リアシートの足元空間を広げるか、状況に応じて選べる。

リアシートを後ろにスライドさせた状態でも、荷室容量はPHEV版で411Lを確保。それ以外のクーガなら475Lの広さがある。前方にずらせば、PHEV版なら581L、通常のエンジン版は645Lにまで拡大できる。

価格設定は競争力が高く、チタン・グレードで3万3095ポンド(446万円)から。勉強はこれくらいにして、走り出してみよう。

スタートすると、プラグイン・ハイブリッドの効果を実感する。モーターとエンジンとのバトンタッチもスムーズで、ほとんど音振では知覚できない。EVモードかハイブリッド・モードで走り出せば、コンピューターが最善を尽くしてくれる。

スポーツ・モードを選ぶと、最大の動力性能を引き出すべく、ガソリンエンジンと電気モーターを積極的に組み合わせて走る。だが、俊敏というよりは、活発といった程度。

落ち着きを備えた機敏な身のこなし

先日発表されたオペル・グランドXハイブリッドには敵わない。0-100km/h加速は9.2秒で、リニアなCVTの特性上、それほど反応に優れるようにも感じられない。

実際に活発さを感じられるのは、追い越し時などの中間加速。電気モーターが有効なトルクを加算してくれる。

フォード・クーガ2.5PHEV STライン(英国仕様)
フォード・クーガ2.5PHEV STライン(英国仕様)

電気モーターだけで走行するEVモードの洗練性は高い。力不足をエンジンが支える場面でも、回転数が高まらない限り、始動に気付くことはないだろう。

フロントガラスには特別な防音処理が施され、風切り音も小さく、車内の平穏な雰囲気を引き立てている。大きな衝撃がタイヤに伝わっても、こもった音がサスペンションから聞こえてくるくらいだ。

新しいクーガが採用するのは、フォーカスと同じC2プラットフォーム。フロント・サスペンションはストラット式で、リアはマルチリンク式。STラインには、若干引き締められたスプリングとダンパーが組み合わされる。

フォーカスよりクーガの方が車高は高いが、先代と比べれば20mm低い。トレッドは44mm広げられ、バッテリーの搭載位置も可能な限り低められている。その結果、印象的なほど落ち着きのある、機敏な身のこなしのSUVに仕上がっている。

走行ペースを速めていくと、背の高く重たいフォーカスのようにも感じる。フォード車らしく、最も印象的なのは減衰力の効き方。路面と息を合わせるように快適性を保ちつつ、連続するコーナーでは優れた操縦性を楽しめる。

鋭い隆起や大きなくぼみ以外、ほとんどの場面でプーマの乗り心地はしなやか。ライバルよりも流暢に距離を重ねていく。

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