【勘違いも】トヨタやホンダが人工呼吸器の製造に乗り出すワケ 高い技術力/多様な研究で柔軟に

公開 : 2020.04.17 05:50

人工呼吸器 日本より米が先だったが

人工呼吸器など、新型コロナウイルス対策で自動車メーカーが動いたのは、日本よりアメリカが先だ。しかも、それは大統領命令だった。

トランプ大統領は、アメリカ全土に国家緊急事態宣言を発令してから15日後となる3月28日、ゼネラルモーターズ(GM)に対して国防生産法に基づき人工呼吸器の生産を命じた。

ゼネラルモーターズ(GM)の工場でマスクを生産する風景。
ゼネラルモーターズ(GM)の工場でマスクを生産する風景。

同法は50年代の朝鮮戦争のために米政府が整備したもの。トランプ大統領は新型コロナウイルスとの闘いを「これは戦争だ」と表現しており、GMの人工呼吸器生産はまさに有事への対応だ。

GMはインディアナ州の部品工場で、医療機器メーカーと連携した生産体制を進めた。

だが、「準備が遅い」というトランプ大統領がツイートに国民の中から賛否両論。GMとしては、トヨタのように医療機器メーカーを手助けする方が、結果的に生産がスムーズに進んだのかもしれない。

北米でもトヨタは、医業機器メーカーと手助けする形式をとっている。

このほか、テスラが1000台を病院に寄付した人工呼吸器について課題あり、との報道がある。新型コロナウイルス感染で重症化した患者には適さないタイプの人工呼吸器だとの指摘だ。

この件について、テスラのマスクCEOはツイートなどでコメントしていない。

有事では、情報が錯綜したり、情報の真偽がわかりにくこともある。

新領域への挑戦 高い技術力で柔軟に

この他で注目されるのが、自動車メーカーが3Dプリンターを活用して医療機器を製造する動きだ。

トヨタやダイムラーは3Dプリンターを使用して医療従事者向けのフェイスシールドを作る。

メルセデス・ベンツ工場内の3Dプリンター。
メルセデス・ベンツ工場内の3Dプリンター。

日本でもホンダが感染者輸送車両の開発を合わせて、フェイスシールドの生産に乗り出すことが明らかになった。

このように、自動車メーカーは高い生産技術を持ち、かつ多様な研究開発を定常的に行っているため、今回のような有事でもフレキシブルな動きがとれる。

いまのところ、社会貢献を目的としており、収益性を問うことはしていないと思われる。

有事でのクルマの対応では近年、全国各地で発生した豪雨災害の際、PHEV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)、そして燃料電池車が移動用電源として活用された。

このように、自動車メーカーとしては今後、社会がこれから直面する様々な試練の場を乗り切るために、これまでには想定していなかった技術やサービスを考える必要が出てくるのだろう。

世界各地で未だ収束の目途が立たない、新型コロナウイルス感染の拡大。一刻も早くワクチンが量産され、世界各地で再び、平穏な社会が訪れることを願う。

おすすめ記事

 

自動車ニュースの人気画像