【当時はFFベストのハンドリング】トヨタ・セリカ(7代目) 英国版中古車ガイド

公開 : 2020.04.27 10:20  更新 : 2021.07.12 18:46

今はなきトヨタ・セリカ。可変バルブタイミングを採用し、ボーイズレーサーに相応しい吹け上がり鋭いエンジンを搭載していました。FFベストの操縦性といわれた、最終型セリカの中古車を手に入れる注意点を見てみましょう。

2種類あるエンジンが生む価格差

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

 
過大なリアスポイラーなどが流行していた2005年。当時のAUTOCARは、7代目セリカのスタイリングをやりすぎだと見ていた。「注目を受けたいのなら、1台手に入れるのも悪くない」 と記してある。

一方で、感触の良い操縦性、充分な乗り心地、滑らかに変速できるトランスミッション、6000rpm以上回る素晴らしいエンジンを評価もしている。英国では控えめなTスポーツと、GTという2つのグレードが存在した。

トヨタ・セリカ(7代目・英国仕様)
トヨタ・セリカ(7代目・英国仕様)

エンジンは同じ1.8LのVVTL-iと呼ばれるユニットで、最高出力は190psを誇った。このVVTL-iという名前は、バリアブル・バルブ・タイミング&リフト・コントロール・インテリジェンスの略。

VVT-iシステムの進化版。給排気のバルフリフト量を6200rpmからレッドラインの8000rpmまでの間で増やし、最高出力を高めていた。6250rpm以下では145psを発揮したVVT-i版ユニットより活気なく感じられるが、効果的なシステムだ。

最高出力で劣るVVT-i版エンジンのセリカを良い値段で見つけたら、倍の走行距離を走った190ps版のVVTL-iとどちらが良いか、しっかり考えたい。英国の場合、9万km程度の走行距離で、整備も行き届いた2004年式の1.8L VVT-i版が1950ポンド(26万円)程度で手に入る。

同じ値段で、同年式のVVTL-i版も購入できるが、その値段なら走行距離は2倍程度に伸びるだろう。さらにVVTL-iを積んだGTグレードなら、1000ポンド(13万円)程度は上乗せとなる。

VVTL-iの価格は高くなるが、それは希少性も高いから。高回転域まで回るエンジンも手に入る。確かに見た目の好みを左右するデザインではある。だが、将来的にはクラシックとして再評価を受けるだろう。

信頼性は高いものの注意したい点も

7代目セリカ、開発コードT230型は、英国では2000年に発売が始まった。当初はVVT-iエンジンのみだったが、2+2のコンパクトなクーペに、低いドライビング・ポジションと軽快な操縦性を兼ね備えていた。

変速も素早く決まり、ハンドリングもシャープ。当時のFFモデルとしては、ベストといえる操縦性を得ていた。セリカとして最後のモデルとなったが、一部の人の間では評価は高かった。

トヨタ・セリカ(7代目・英国仕様)
トヨタ・セリカ(7代目・英国仕様)

装備も充実しており、エアコンにABS、アルミホイールにパワーウインドウは標準。オプションでレザーシートやオートエアコンも選べた。そして2000年の末になると、さらにスポーティで装備も豪華なVVTL-i版が追加される。

2003年にはマイナーチェンジを受け、ブレーキと空力性能が改められた。GTグレードが英国に登場したのは2005年。セリカの販売が終了するわずか1年前だった。

英国の場合は走行距離が伸びる傾向にあるが、VVT-iエンジンなら19万km前後の走行距離で500ポンド(6万7000円)くらいから見つかる。フェイスリフトの前後というより、クルマの状態を優先したい。

執筆時に英国の中古車市場に出ていた、最も高いセリカは5000ポンド(67万円)。12万8000kmのVVTL-iエンジンを積んだ最終型のGTだ。

セリカもトヨタ製のクルマということで、信頼性は高いが、注意したい点もある。VVTL-iの場合は、バルブリフターの調子。VVT-iの場合は、エンジンオイルの消費量。さらに、ぶつけやすいフロントスポイラーの状態や、ボディ下面やサブフレームのサビ。

1990年代のGTフォー ST205に続く、優秀な血統を持つT230型セリカ。今はまだ、その価値に気付かれていないだけだ。

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