【貴重な成功物語】英国製カローラの故郷 トヨタ・バーナストン工場を訪問 後編

公開 : 2020.05.03 18:50  更新 : 2021.01.28 16:58

英国で新型カローラの生産を行っているトヨタのバーナストン工場を訪ねました。ブレグジットに続いて新型コロナウイルスの影響から苦境にある英国自動車産業にとって、この工場は貴重な明るい話題となっているようです。

ウィン・ウィンの関係

こうしたやり方は、チャールズ皇太子が工場の正式稼働を宣言した1993年以来働き続けているスタッフが多いバーナストンにとって相応しいものだった。

「勤続25年を迎えたスタッフが数百人もいます」と、クロスビーは付け加える。「非常にこの仕事に誇りを持っているのです」

バーナストン工場からは193万6572台のアヴェンシスがオーナーのもとへと旅立っている。
バーナストン工場からは193万6572台のアヴェンシスがオーナーのもとへと旅立っている。

日本のトヨタ本社からのサポートに関して、クロスビーは「これまでの大掛かりな生産変更に比べ、その役割は劇的に少なくなっています」と話しているが、これは決して日本側に関心がない訳ではなく、工場がそれだけ実力を付けたと言うことの証しだ。

「当初この工場はまさにゼロからのスタートでしたから、日本から多くのサポートを必要としていました」と、彼は言う。

「以降、われわれは自分たちである程度のことが出来るようになろうとして来ましたし、日本側もその思いを理解してくれました。お陰で自立心というものが育ってきたのです」

「いまでは日本製の装置やパーツサプライヤーとも直接やりとりをしています。その結果、研究開発などのリソースをここではなく別の場所に向けられるようになったのですから、英国側と日本側双方にとってウィン・ウィンの関係だと思います」

「アンドン」方式

トヨタ本社の関与が少なくなったとは言え、トヨタの驚異的な組立品質を維持しなければならないというプレッシャーが変わることはないだろう。

「最初にラインオフする車両から最高の品質を達成している必要があります」と、クロスビーは言う。

トヨタ・カローラ(欧州仕様)
トヨタ・カローラ(欧州仕様)

「トヨタのモデルとして相応しい基準と品質レベルを確保する必要があるのです。生産シフトなど関係ありません。すべての車両が完全に同じでなければならないのです」

「簡単そうに聞こえるかも知れませんが、実際にこれを行うのは容易いことではありません。トヨタが誇る高品質は熟練したスタッフなしでは実現できないものであり、この品質を維持するため、すべてのプロセスで多くの努力が行われています」

「トヨタはその品質管理の方法がよく知られています。もしラインで何か異常の兆候があればアンドンの紐を引いてラインを止め、問題を解消するのです」

バーナストンにいれば、この「アンドン」という言葉を頻繁に耳にすることになるだろう。「アンドン」とは異常を知らせるためのシステムであり、作業者が紐を引くことで作動する。

作業者はいついかなる時でも、キズやネジが適切に締め付けられていないなど、何か異常を感じたらアンドンの紐を引く。そうするとラインがストップするとともに、ラインマネージャーに異常が通知され、彼らが問題を解消するまで生産が再開されることはないのだ。

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