【車名を言える?】フォルクスワーゲン・ミュージアム 21台の「忘れられたクルマ」たち

公開 : 2020.05.07 11:50

1984年 ポロのエンジンを搭載したビートル

フォルクスワーゲンは、排ガス規制によってビートルの空冷フラット4エンジンが、遅かれ早かれ生き残れなくなるとわかっていた。まさか2003年まで存えるなんて誰も予想していなかった。水冷エンジン搭載のビートルを開発する努力は、既に1970年代に始まっていた。その一環として1984年に製作とテストが行われたのが、このポロのエンジンを搭載したビートルだ。

メキシコ工場製のビートルをベースに、フォルクスワーゲンのエンジニアはその水平対向エンジンが収まっていた場所に、最高出力45psの直列4気筒エンジンを縦向きに搭載。そのためには、例えばラジエターを車体の下部に取り付け、厚いスキッドプレートでガードするなど、異例のパッケージングの工夫が必要だった。ポロのエンジンはその後、マイクロバスなどのトランスポルターに搭載されることになったが、ビートルは空冷フラット4エンジンを搭載したまま生産終了を迎える。

ポロのエンジンを搭載したビートル
ポロのエンジンを搭載したビートル

1984年 IRVW III

1984年、2代目ジェッタをベースに製作されたこのプロトタイプは、新たなテクノロジーのテスト用車両だった。一見すると、車高が低いだけであとは普通のジェッタのようだが、そのボンネットの下にはターボチャージャーを装備することによって最高出力180psにチューンされた1.8リッター直列4気筒ディーゼル・エンジンが搭載されている。

当時、市販モデルのジェッタに設定されていた最もパワフルなディーゼル・エンジンの最高出力は80psに過ぎなかった。さらに100psものパワーが加わったことで、ジェッタはアウトバーンを200km/hで巡航できるクルマになった。

IRVW III
IRVW III

1987年 T3マグマ

フォルクスワーゲンはこのマグマのプロトタイプを1987年に発表した。その目的は、発売からかなりの年月が経過していたT3の内外装を変えることに対する顧客の反応を探るためだ。このプロトタイプには、ドライビングランプを組み込んだグリルや、より丸みを帯びたオーバーフェンダーが装着され、2トーンに塗り分けられたペイントを採用するなど、多くの変更が施されていた。ウインチやブルバーなどのオフロード向け装備も付け加えられ、大いに人々の注目を集めた。2.1リッター水平対向4気筒エンジンは最高出力112psを発生する。

試験的にマグマに施されていた大掛かりな変更は、結局量産モデルには採用されなかった。ターゲットとしていた顧客層からあまり良い評判が得られなかったためと、欧州や北米ではライフサイクル末期に近づきつつあるモデルのアップデートに、さらなる投資はしないとフォルクスワーゲンが決めたからだ。

T3マグマ
T3マグマ

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