【新型ディフェンダー開発の舞台裏】5人の重要人物にインタビュー 後編

公開 : 2020.05.10 18:50

マイク・クロス:ビークルインテグリティ担当チーフエンジニア

言葉よりも実践 ルックスに相応しい走り

マイク・クロスは寡黙な男だ。

すべてのモデルに「ランドローバーらしさ」を与えるという自らの仕事を説明するのに、彼は言葉よりも実践を好む。

マイク・クロス:ビークルインテグリティ担当チーフエンジニア
マイク・クロス:ビークルインテグリティ担当チーフエンジニア

ひとたび車両の仕上がりに納得すると、ひとびとに実際にステアリングを握ってもらったり、そのクルマで自らの見事なドライビングスキルを披露するのだ。

そして、それがいま新型ディフェンダーの開発でクロスが果たした役割に耳を傾けながら、ゲイドンにあるテストコースを150km/h近くのスピードで周回している理由だった。

「まさにこのクルマのルックスに相応しい走りを実現したいと思っていました」と、彼は言う。

「少しばかりメカニカルな感じと、適度な正確性といったものを備えた楽しめるドライビング性能ですが、決して特別なものではありません。スポーツカーではないのですから」

これがこれまでクロスが携わってきた数々のモデルよりも新型ディフェンダーが大きなロールを許す理由であり、このクルマにはオフローダーとして悪路への対応能力が求められているのだ。

わたしがステアリングを握って、新型ディフェンダーが大小の路面不整にしなやかに対応する様子に感心していると彼は嬉しそうな表情を見せた。

四輪独立懸架のソフトなエアサスペンションにもかかわらず、例え高速であってもこのクルマはしっかりとした接地感を感じさせる(190km/h以上の速度も試してみた)。

誇らしげな笑み 最高傑作のひとつ

ステアリングフィールも正確で心地よいものであり、決してスポーティーではないが見事なハンドリングだと言えるだろう。

「路面とのしっかりとした繋がりを感じられるはずです」と、クロスは言う。

クロスは自らが果たした役割を言葉ではなく車両に語らせることを好む。
クロスは自らが果たした役割を言葉ではなく車両に語らせることを好む。

クロスと彼のチームは、開発初期と最終評価が行われていた最後の15カ月間という、新型ディフェンダーにとって重要なふたつのタイミングでこのクルマに関与している。

「初期段階ではエンジニアとともに新型ディフェンダーのコンセプト創りを行い、開発が進むにつれて動力性能の面から進むべき方向性についてアドバイスを行っています」

「その後、プロトタイプが完成すると、実際にステアリングを握っていますが、われわれの役目は当初掲げた目標とお客様がランドローバーに期待するものを、実際の車両が確実に達成出来るようにすることです」

「騒音や振動、静粛性などとともに、ステアリングフィールやパワー、ブレーキフィール、乗り心地、さらにはハンドリングといったものです」

高速でテストコースから離れると、145km/hの速度で次々とコンクリート製のジャンプ台に挑戦することになった。

その度に新型ディフェンダーは宙を舞うが、着地しても進路が一切乱れていないばかりか、まるで巨大で硬いクッションの上に落ちたかのように感じられる。

サスペンションが底付きするような様子を見せなかったことで、クロスは少し誇らしげな笑みを見せる。

「われわれの最高傑作のひとつだと思っています」と、彼は言う。

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